被告人は、金品強取のため、共犯者らと共同して被害者を拉致して監禁し、強盗に及んだが、めぼしい資産はないことがわかった。
そこで、当初の計画どおり、被害者の記憶抹消等のため、共犯者が被害者に覚せい剤を注射し、被害者を人里離れた山中に放置した。
被害者は、山中を徘徊するうち、覚せい剤使用に続発した横紋筋融解症により死亡した。
被告人は、被害者の死亡が強盗の機会に生じたものではないとして、強盗致死罪の成立を争った。
被告人は、強盗に引き続いて、当初からの計画に従い、強盗の罪跡を隠滅するために、被害者に覚せい剤を注射して放置する行為に及び、被害者を死亡させるに至ったと認められ、このような強盗の罪跡を隠滅する行為は強盗と一体のものと評価できるから、被害者の死亡の原因となった覚せい剤を注射するなどした行為は強盗の機会に行われたということができる。
したがって、本件では、強盗致死罪が成立すると認められる。
強盗致死罪における致死(死亡について故意がある場合も含む。)については、強盗の機会に生じることが必要とされています。
致死という結果が強盗の機会に生じなければ、強盗致死罪は成立せず、強盗罪及び傷害致死罪ないし殺人罪の併合罪が成立することになります。
強盗致死罪の法定刑が、死刑または無期懲役であるのに対し(刑法240条)、上記併合罪の場合は懲役刑も選択できますから、この違いは大きいと言えます。
本件では、覚せい剤を注射するまで強盗の意思を放棄していたわけではないこと、当初から覚せい剤を注射することを計画しており、その計画に従ったこと等を考慮し、強盗の機会になされたことを認定しました。
本件は、強盗の機会の解釈にあたって意義を有します。
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