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震災から7年

2018.03.11
所長ブログ

震災から早いもので7年を経過します。
 平成23年3月11日、私は、日立での裁判期日を終え、事務所に戻る途中でした。
途中の中郷サービスエリアで休憩中に、突然、経験のない強い揺れに襲われ、てっきり私は、東京方面で大地震でも起こったのかと思いました。
建物からみんな外に飛び出て、揺れ続ける鉄柱を見上げ、みな不安そうにしていたのをよく覚えています。
携帯電話も繋がらなくなり、事務所の状況も確認できず、とりあえずまだ通行が可能だった高速道路を使い、急ぎ事務所に戻りましたが、到着すると事務所内は、書棚がことごとく倒れ、事務局員も誰もいない状態でした。
その後、原発事故が起こり、避難指示、自主避難を含め多くの人が地元を離れ、私も、家族と共に、伝手を頼って、東京、長野と避難したのも、もう遠い昔のような気もします。

 弁護士の扱う業務の中で、震災後、目に見えて減ったのは、破産や個人再生などの債務整理です。
勿論、貸金業法の改正により、利息の負担が減ったためその傾向は震災前からあったのですが、震災を契機に、急激に減少しました。
理由は、原発事故による各種賠償金と金融機関による返済猶予であることはほぼ間違いありません。
 しかし、その減少傾向も底打ちとなり、裁判所の統計資料でも、ここ数年、破産等の申立件数は、また増加傾向にあります。
この理由もまた、各種賠償金の打ち切りと金融機関による返済猶予の終了によることは間違いないと思います(勿論、背景には地方の景気が上向かないということがあるのでしょうが。)。

 弁護士という職業をしていると、こうした扱う事件の推移によっても、時間の流れ、世の動向の変化のようなものを感じることがあります。
マスコミでは、連日、例年通りの震災特集ですが、7年という月日は、決して短いものではなく、私は、この債務整理件数等の変化から、世の動向が、震災前に戻りつつあるのを感じます。
避難解除はされても住民の帰還は進んでおらず、避難区域の復興はまだまだですが、世の流れは、震災前へと進んでいるように思えてなりません。
あの大震災の記憶も、多くの、特に被害に直接会わなかった人々の間では、次第に薄れていくのでしょう。
確かに、人間(社会)には、原状復帰バネ(復元力)のようなものがあり、混乱の極限である戦争さえも昔のことにしてしまう力があります(それがないと発展もまたないのかもしれません。)。社会というのは生き物であり、これも避けようもない流れといってしまえばそれまでですが、被災者の一人としては色々考えさせられます。
幸い、私は震災前と同じような生活を送れていますが、帰還した方々が震災前と同じような生活を送れる日が早くくるよう祈るばかりです。

平成30年3月11日

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