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弁護士自治の危機?

2013.11.07
所長ブログ

私は、数年前から、日弁連の若手法曹センターという、若手弁護士をサポートする組織の中の、開業・業務支援PTの委員をしています。基本、毎月東京で会議があるので、正直しんどいのですが、後輩のためと思い(私も散々先輩弁護士から恩恵を受けてきましたので。いや、今でも受け続けています。m(_ _)m)、続けています。

弁護士という世界は、どこか徒弟制度のような雰囲気が残っていまして、先輩弁護士は後輩弁護士の面倒をみて、後輩弁護士はそのまた後輩弁護士の面倒を見る、という慣習をつい最近まで守ってきました。弁護士は先輩弁護士の恩に直接お返しすることができないので、後輩に対する面倒を見ることでその恩を返していく、という発想です。自虐的に、商売敵にこれほど塩をおくる業界はない、などといわれてきたところです。

しかし、この古き良き(?)慣習も、どうも風前の灯火のようです。

先日の会議に出て聞いて驚いたことは、大きな単位会(福岡・大阪等、所属する会員が多い弁護士会をいいます。)では、若手の弁護士は、割り当てられた委員会にすら出てこないというのです。つまり、会務のようなお金にならない仕事はやらないのですね。しかもそれを平気で態度に現わすと。当会のような小規模単位会では考えられないことです。当会では若手は委員会に出るのは当たり前で、欠席されるのは長老格の大先生と相場が決まっています。

委員会にも出てこないでは、先輩弁護士も面倒のみようがないし、繋がりを持ちようがないわけです。弁護士も人間ですから、そんな可愛くない後輩の面倒を忙しい中みようとはしなくなるのは道理でしょう。

なぜ先輩弁護士との繋がりを少しでも持とうとしないのか、私には理解しかねます。正直、不思議でなりません。そのような人たちは、多分他の公務(公益活動)にも不熱心なのでしょうし、弁護士として地域で評価されることも敬意を表されることもないでしょう。これが弁護士大増員時代の産物の一つだとすれば、弁護士大増員時代は、面々と続いてきた弁護士の(良い意味での)均一性を壊してしまったのでしょうか。その答えをすぐに出すのは早計ですが、何か業界の未来に暗い影を落とす事実です。

少し難しいことをいうと、弁護士の連携が壊れ、単なる商売敵同士になってしまったら、歴史的に守ってきた弁護士自治というものが危機に晒されてしまいます。私は左翼系の思想を持った人間ではありませんが(私の父も中小企業の経営者でした。母は田中角栄大好き人間でした。)、弁護士自治が崩壊すれば、国民の基本的人権の危機を招くという歴史的経緯は把握しているつもりです。

先ほどの日弁連開業・業務PTでは、そのような危機意識の下、どうやって若手をサポートし、弁護士自治を守っていくのかを議論しています。古き良き時代にデメリットがあったことは否定しませんが(特権に胡座を搔いていた弁護士がいたことは否定しません。)、全否定するのもまた危険な思いを持っています。

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