こんにちは。弁護士の稲田です。
3年以上、HP更新を担当しておりませんでしたが、このところは近年の法改正について時間を見つけて勉強しているので、その備忘録がてら、何回かに分けて勉強の成果を反映させていきたいと思います。
あ、検察庁法改正には触れませんよ。改正実現していませんし。
今日は民事執行法改正(2020年4月1日施行)についてです。
民事執行法が改正されて、①不動産、②給与、③預貯金については一定の要件を備えれば裁判所を通じて調査可能となりました。
それぞれ微妙に要件が異なりますが、今回は給与の調査について紹介します。
給与調査では、債務者の勤務先が調査対象となり、照会先は市区町村、年金事務所又は各種公的年金加入団体(国家公務員共済組合とか)です。
どこを照会先とするかは裁判所に調査を依頼する際に債権者が指定します。
要件は、
① 執行力ある債務名義の正本を有していること
② 生命身体侵害に対する損害賠償請求権もしくは養育費・婚姻費用請求権を債権とすること
③ 財産開示手続を行っており、かつ、それから3年が経過していないこと
④ 執行開始阻害事由がないこと(仮執行宣言判決に対し、担保を立てて仮執行免脱を受けたとき、等)
です。
ここでは詳しくは触れませんが、③の財産開示手続が結構ヘビーで、これを実施する際にも色々と要件が必要となります。
給与差押は、よく不貞慰謝料の認容判決で使いたくなりますが、不貞慰謝料だと②の要件を満たさないので勤務先調査はできませんね・・・。ちょっと使い勝手が悪いです。
ちなみに、債務者と和解するときも、②の債権であることは明記した方がよいですよ。「解決金」なんて文言にしたら裁判所を介した勤務先調査ができなくなる可能性がありますから。
以上
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