日本相撲協会(Y)は、幕内力士であるXを、故意による無気力相撲を行ったことを理由として、無気力相撲懲罰規定に基づき引退勧告処分としたところ、Xは当該処分に従わなかった。
そのため、Yは、引退勧告処分に従わないことを理由として、Xを解雇処分とした。
そこで、Xは、各処分該当事由が存在せず、また、解雇処分に至る手続等に違法があるから、各処分は無効であると主張して、幕内力士の地位にあることの確認を求めた。
Xが過去に「故意による無気力相撲」に関与したことは窺がえるものの、今回の取組が「故意による無気力相撲」であったと認めるに足る十分な証拠はない。
したがって、引退勧告事由は存在しないため、引退勧告処分、それに続く解雇処分は無効である。
仮に、「故意による無気力相撲」があったとしても、無気力相撲懲罰規定には解雇処分が規定されていないこと等からすれば、本件解雇処分は、実質的には規定に明定されていない処分を行ったものといえるので、手続に違法がある。
本件は、ワイドショー等でも取り上げられた「無気力相撲」に関する裁判です。
労働者である場合、解雇権濫用法理により、解雇処分の有効・無効は厳格に判断されますが、力士は労働者ではなく、解雇権濫用法理は適用されません。
もっとも、本判決は、各処分が懲戒処分として行われたことに鑑み、各規定の明確性や処分の相当性を慎重に検討したうえでXの主張を認めており、その判断過程は、労働事件においても参考になります。
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