被告人は傷害、強盗、建造物侵入、窃盗の各共同正犯として起訴されたものであるが、傷害については、先行者2名が先に被害者に暴行を加え傷害を負わせており、被告人は、先行者への共謀加担後、先行者らよりも強度の暴行を加え、傷害を負わせたとして承継的共同正犯の成立範囲が問題となった事案である。
他の者が被害者に暴行を加えて傷害を負わせた後に、被告人が共謀加担した上、さらに暴行を加えて被害者の傷害を相当程度重篤化させた場合、被告人は、被告人の共謀及びそれに基づく行為と因果関係を有しない共謀加担前にすでに生じていた傷害結果については、傷害罪の共同正犯としての責任を負うことはなく、共謀加担後の傷害を引き起こすに足りる暴行によって傷害の発生に寄与したことについてのみ、傷害罪の共同正犯としての責任を負う。
承継的共同正犯については、大審院時代に、「他人が詐欺取財を為すに当り半途より之に加担し共に其目的を遂げたるものなれば他人と共に詐欺取財の罪責を負担するは当然」と説示したものがあり、判例は、加担者の罪責の成立範囲について、先行者の全ての行為につき罪責を負うと解されてきました。しかし、戦後の判例の中には、罪責の成立範囲について、全て責任を負うとする説と、責任を負わないとする説のいずれも存在していました。
本判決は、このような論点につき、最高裁として真正面から判断を加えた例として、意義を有するものと言えます。もっとも、本判決は、先行行為の全てにつき、後行者が責任を負わないとまで明言したわけではありません。
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