X(夫)とY(妻)の間には、平成17年生まれの長女Zがいるが、別居以降はYが監護教育している。
Yの主張によれば、Xから奴隷のように扱われていたこと、度々暴力を振るわれたこと等から、別居が始まった。
Yは、XにZとの面会をさせない意向であったため、Xが面会交流を求める調停を起こしたが、調停は不調になり、家庭裁判所は、以下の内容の面会交流をするようにYに命じた。
頻度等:月1回 第3日曜日
時間:午前10時から午後2時
受渡場所:当事者間で協議して定める。協議が整わないときは、JRA駅B口1階改札付近とする。
受渡方法:Yは開始時間に受渡場所においてXにZを受け渡し、Xは終了時間に受渡場所においてYにZを受け渡す。
そこで、これを不服とするYが、原審判を取消し、面会交流の申立を却下するよう求めて、高等裁判所に抗告した。
まず、面会交流を認めるか否かについては、ZがXを拒絶していないこと、Zが同居中の両親との良好な思い出を有しているといえることから、面会交流を実施していくことが必要かつ相当であるとした。
そして、具体的方法については以下のように判断した。
本件においては、Zの送迎時にXとYが顔を合わせるような受渡方法は無理がある。また、XがYに対する暴力の事実を否定していない本件においては、第三者機関の利用等を検討することがまず考えられるべきであるし、その場合、仲介費用等の面で問題があれば、Zが一人でも行くことができる受渡場所の設定を検討したり、Zが信頼できる第三者を介したりすることも検討すべきである。
また、Zの現状について、充分な調査が尽くされたとは言い難い。
以上によれば、本件は、改めて審理をするため、原審に差し戻すことが相当である。
面会交流が民法766条に明文化されるとともに、近時、面会交流を求める調停、審判が増加しています。
本件は、面会交流を認めるとして、具体的にどのような方法で認めるべきかが問題となり、原審で審理を尽くして具体的条件を決めるのが相当であるとした事案です。
夫婦間の関係が悪化している状況下において、未成年者の福祉を考慮しながら、どのような条件のもとに面会交流を認めるのが相当かは、実務上、難しい問題です。
本件は、そのような場合に参考となる事例です。
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