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遺産分割はいつまでに行う?相続相続の手続きの期限と遺産分割協議について解説

2026.08.31
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相続
遺産分割はいつまでに行う?相続相続の手続きの期限と遺産分割協議について解説

相続が発生したものの、
「遺産分割はいつまでに行えばよいのか」
「話し合いが長引いても問題ないのか」
と不安に感じる方もいるのではないでしょうか。

遺産分割協議そのものに一律の期限はありませんが、
相続登記や相続税申告、相続放棄など、相続に関連する手続きにはそれぞれ期限があります。

また、相続開始から長期間が経過すると、遺産分割の際に不利益が生じる可能性もあるため注意が必要です。

この記事では、遺産分割をいつまでに行うべきか、
相続手続きごとの期限や遺産分割協議の進め方とあわせて解説します。

遺産分割に期限はないが放置には注意が必要

「実家の名義変更はそのうちでいい」
「親族で揉めたくないから、話し合いは後回しにしよう」と考えて、
遺産分割を先送りにしていないでしょうか。

遺産分割協議そのものには、「相続開始から○年以内に終えなければならない」という一律の期限はありません。
しかし、相続放棄や相続税申告、相続登記などにはそれぞれ期限があります。

さらに、相続開始から10年を経過すると、
原則として特別受益や寄与分を考慮した遺産分割ができなくなるため注意が必要です。
相続人の死亡によって新たな相続が発生すれば、権利関係も複雑になりやすくなります。

期限がないからと放置せず、できるだけ早めに相続人と財産を確認し、必要な手続きを進めることが大切です。

遺産分割協議自体には一律の期限がない

遺産の分け方について相続人が話し合う「遺産分割協議」には、一律の法定期限は設けられていません。
相続開始から長期間が経過した後でも、一定の場合を除いて遺産分割そのものを行うことは可能です。

ただし、時間が経過するほど次のような問題が生じやすくなります。

  • 資料を入手しにくくなる
    預貯金の取引履歴などは、金融機関の保存期間などによって過去の資料を取得できなくなる場合があります。
  • 相続人の判断能力が低下する可能性がある
    相続人が認知症などにより意思能力を欠く状態になると、
    そのまま本人が遺産分割協議を行うことはできません。
    状況によっては成年後見制度などの利用を検討する必要があります。
  • 数次相続が発生する
    遺産分割前に相続人が亡くなると、その相続人の権利をさらに次の相続人が承継し、
    協議に関係する人が増える場合があります。
  • 特別受益・寄与分を考慮できなくなる可能性がある
    原則として相続開始から10年を経過すると、これらを反映した具体的相続分による遺産分割が制限されます。

遺産分割そのものに期限がないことと、「いつまで放置しても同じ条件で分けられる」ことは別問題です。

放置する前に確認したい4つの主な期限

遺産分割に関連する主な期限を整理すると、次のとおりです。

主な期限手続き・ルール期限を過ぎた場合の主な影響
3か月相続放棄・限定承認原則として単純承認したものとみなされる可能性がある
10か月相続税の申告・納付無申告加算税や延滞税が生じる可能性がある
3年相続登記正当な理由なく義務に違反すると10万円以下の過料の対象となる可能性がある
10年特別受益・寄与分を考慮した遺産分割原則として法定相続分または指定相続分を基準とした分割になる

相続放棄や限定承認は、原則として「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内」です。
財産調査に時間がかかる場合は、期間内に家庭裁判所へ熟慮期間の伸長を申し立てることもできます。

また、相続税は遺産分割が終わっていなくても、
原則として被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に申告・納付しなければなりません。
未分割だからという理由だけで期限が延長されるわけではありません。

2023年・2024年から適用されている重要なルール

近年の民法・不動産登記法の改正により、遺産分割を長期間放置することによる影響が大きくなっています。

2023年4月施行|特別受益・寄与分の10年ルール

2023年4月1日に施行された改正民法により、
相続開始から10年を経過した後の遺産分割では、
原則として特別受益や寄与分を考慮しないことになりました。

ただし、10年以内に家庭裁判所へ遺産分割を請求している場合などには例外があります。

2024年4月施行|相続登記の義務化

2024年4月1日から、不動産の相続登記が義務化されています。

相続によって不動産を取得した相続人は、
原則としてその所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請する必要があります。
また、遺産分割成立後に不動産を取得した場合は、その成立日から3年以内に登記しなければなりません。

正当な理由なく義務に違反した場合は、10万円以下の過料が科される可能性があります。
過料は刑事罰である「罰金」とは異なるため、「最大10万円の罰金」という表現は適切ではありません。

10年経過で特別受益・寄与分が考慮されにくくなるルール

「自分だけが長年親の介護をしてきた」「兄だけが生前に多額の住宅購入資金をもらっていた」といった事情は、
遺産分割において寄与分や特別受益として問題になる場合があります。

しかし、2023年4月施行の改正民法により、相続開始から10年を経過すると、
原則としてこれらを考慮した具体的相続分による遺産分割ができなくなりました。

特別受益・寄与分に関する10年制限

相続開始から10年以内であれば、
一定の要件のもとで特別受益や寄与分を考慮し、各相続人の具体的な取得割合を調整できます。

一方、10年を経過した後は、原則として法定相続分または遺言で指定された相続分を基準に分割します。

特別受益・寄与分に関する10年制限

たとえば、特定の相続人が多額の生前贈与を受けていた場合、
その内容が特別受益に当たれば、10年以内の遺産分割では考慮される可能性があります。

介護などについても、一定の要件を満たして寄与分が認められれば取得額の調整につながります
ただし、介護をしたという事実だけで当然に寄与分が認められるわけではありません。

10年を待っていれば必ず有利になるわけではない

10年ルールによって特別受益や寄与分が制限されるため、
結果的に10年経過が有利に働く相続人がいる可能性はあります。

ただし、「相続人が意図的に10年間逃げ切れば確実に有利になる」とまではいえません。

相手方が協議に応じない場合でも、
10年以内に家庭裁判所へ遺産分割の請求をしていれば、
10年経過後も特別受益・寄与分を考慮できる場合があります。
民法904条の3では、10年以内に家庭裁判所へ遺産分割を請求した場合を例外として定めています。

そのため、話し合いが長期間進まない場合は、相手からの返答を待ち続けるのではなく、
必要に応じて遺産分割調停を申し立てることも検討しましょう。

2023年4月より前の相続にも経過措置がある

10年ルールは、2023年4月1日より前に開始した相続にも適用されます。
ただし、施行前の相続について突然不利益が生じないよう、経過措置が設けられています。

基本的には、

「相続開始から10年を経過する時」と「2023年4月1日から5年を経過する時」のいずれか遅い時

までが基準となります。

そのため、2023年4月1日時点ですでに相続開始から10年以上経過していたケースでも、
原則として直ちに特別受益・寄与分を考慮できなくなったわけではありません。
経過措置により、2028年3月31日までは対応できる可能性があります。

また、期限までに家庭裁判所へ遺産分割を請求した場合などには例外もあります。

古い相続では戸籍や財産資料の収集に時間がかかることも少なくありません。
特別受益や寄与分を主張したい場合は、自分のケースでいつまでに対応すべきかを確認し、
早めに弁護士などへ相談するとよいでしょう。

相続登記義務化と3年以内の手続き

「田舎の古い実家だから、名義は親のままでも問題ないだろう」と考えている方もいるかもしれません。
しかし、2024年4月1日から相続登記が義務化され、
不動産を相続した場合は一定の期限内に登記を申請する必要があります。

相続によって不動産の所有権を取得した相続人は、
原則としてその取得を知った日から3年以内に相続登記を行わなければなりません。
また、遺産分割によって不動産を取得した場合は、
遺産分割成立日から3年以内に、その内容を反映した登記が必要です。

正当な理由なく放置すると10万円以下の過料

相続登記の義務に正当な理由なく違反した場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。
過料は行政上の金銭的なペナルティであり、刑事罰である「罰金」とは異なります。

正当な理由として考慮される可能性がある事情には、たとえば次のようなものがあります。

  • 相続人が極めて多数で、戸籍などの収集に時間を要する
  • 遺言の有効性や相続人の範囲などについて争いがある
  • 登記義務を負う本人が重病などで手続きを行うことが難しい
  • DV被害などにより登記手続きを進めることが困難である
  • 経済的に困窮している

一方、「仕事が忙しかった」「手続きが面倒だった」といった事情だけで、
正当な理由が認められるわけではありません。

また、遺産分割協議がまとまらない場合でも、相続登記を何もしないまま放置することはおすすめできません。
「相続人申告登記」を利用すれば、相続登記の申請義務を簡易に履行できる場合があります。

登記義務化の対象となる不動産と手続き

相続登記の義務化は、2024年4月1日以後に発生した相続だけでなく、それ以前に発生した相続にも適用されます。

たとえば、次のような不動産も対象になり得ます。

  • 親名義のまま残っている実家や空き家
  • 相続登記をしていない土地や農地
  • 山林や私道などの持分
  • 過去の相続から名義変更されていない不動産

基本的な相続登記の流れは次のとおりです。

  1. 戸籍などを集めて法定相続人を確認する
  2. 遺言書の有無を確認する
  3. 必要に応じて遺産分割協議を行う
  4. 登記申請書や添付書類を準備する
  5. 不動産所在地を管轄する法務局へ申請する

遺産分割が3年以内にまとまらない場合は、
相続人申告登記を利用したうえで、後に遺産分割が成立したとき、
その成立日から3年以内に改めて内容を反映した相続登記を行う必要があります。

期限に注意したい相続税と相続放棄

相続税や相続放棄にも、遺産分割とは別に期限が定められています。
「遺産分割が終わってから対応すればよい」と考えていると、期限を過ぎる可能性があるため注意しましょう。

相続税の申告・納付は原則10か月以内

相続税の申告と納付は、原則として被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に行います。
遺産分割協議がまとまっていなくても、申告期限が自動的に延長されるわけではありません。

未分割の場合は、各共同相続人が法定相続分などに従って財産を取得したものとして課税価格を計算し、
いったん期限内に申告・納税することになります。

また、未分割の財産については、当初の申告では次の特例を適用できない場合があります。

  • 配偶者の税額軽減
  • 小規模宅地等の特例

ただし、10か月を過ぎたらこれらの特例が永久に使えなくなるわけではありません。

相続税申告書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付し、
その後3年以内に分割が成立するなど一定の要件を満たせば、特例を適用できる場合があります。

さらに、訴訟などやむを得ない事情によって3年以内に分割できない場合にも、
税務署長の承認を受けることで特例を利用できるケースがあります。

そのため、「申告期限に遅れれば数千万円の税金が必ず発生する」といった一律の表現は避けた方がよいでしょう。

3か月以内に判断が必要な相続放棄と限定承認

被相続人に多額の借金や保証債務がある場合は、相続放棄や限定承認を検討できます。

相続人は原則として、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、
単純承認・限定承認・相続放棄のいずれかを選択する必要があります。この期間を「熟慮期間」といいます。

3か月以内に財産や債務の全容を確認できず、
判断が難しい場合は、熟慮期間が終わる前に家庭裁判所へ期間伸長を申し立てることが可能です。

なお、熟慮期間を過ぎた場合でも、被相続人に財産や債務がないと信じることに相当な理由があった場合など、
事情によっては後から相続放棄が受理されるケースもあります。

また、相続財産を処分すると、内容によっては単純承認とみなされる可能性があるため注意が必要です。
ただし、遺品を整理しただけで直ちに相続放棄ができなくなるとは限りません。
財産的価値のあるものを売却・消費するなど、具体的な行為の内容によって判断されます。

相続放棄を検討している場合は、預貯金や不動産などを自己判断で処分せず、
早めに弁護士などへ相談すると安心です。

長期放置で複雑化する数次相続のリスク

遺産分割を長期間先送りすると、相続登記の期限などに影響するだけでなく、
その間に新たな相続が発生して権利関係が複雑になるおそれがあります。

特に注意したいのが、遺産分割が終わらないうちに相続人が亡くなる「数次相続」です。
相続関係者が増えるほど、戸籍の収集や連絡、話し合いに必要な手間も増えやすくなります。

面識のない親族も関係する可能性がある数次相続

遺産分割が終わる前に相続人の一人が亡くなると、
その人が有していた相続上の地位を、その人自身の相続人が承継することがあります。
これが「数次相続」です。

たとえば、親の相続について兄弟姉妹で協議する前に兄が亡くなれば、
兄の配偶者や子などが、その後の遺産分割に関係する可能性があります。

長期間放置すると、次のような問題が生じやすくなるでしょう。

  • 相続人が増える
    当初は兄弟姉妹だけだったものが、その配偶者や子などを含む関係になる場合があります。
  • 戸籍調査の範囲が広がる
    数次相続が重なるほど、誰が現在の相続人なのかを確認するための戸籍も増えます。
  • 合意形成が難しくなる
    面識の薄い相続人が加わることで、
    財産の評価や分け方について意見がまとまりにくくなる可能性があります。
  • 遺産分割協議が成立しない場合がある
    原則として相続人全員の合意が必要なため、
    一人でも分割内容に同意しなければ、その内容で協議を成立させることはできません。

相続人には本来相続する権利があるため、単に署名・押印を求めるのではなく、
それぞれの相続分や事情を踏まえて協議する必要があります。

預貯金や不動産の手続きが進みにくくなる

遺産分割を放置すると、財産を活用する際にも不都合が生じることがあります。

預貯金の払戻し

金融機関が口座名義人の死亡を把握すると、一般的には口座からの自由な払戻しなどが制限されます。

ただし、遺産分割が終わるまで一切引き出せないわけではありません。
一定の要件を満たせば、遺産分割前の預貯金払戻し制度を利用できます。

家庭裁判所を通さず単独で払い戻せる金額は、原則として、

相続開始時の預貯金額 × 3分の1 × その相続人の法定相続分

で計算し、同一金融機関につき相続人1人当たり150万円が上限です。

葬儀費用や生活費などをすべて賄えるとは限らないため、
早めに相続手続きを進めることが望ましいでしょう。

不動産の管理・処分

相続した不動産について遺産分割が終わっていない場合、共同相続人による共有状態となることがあります。

共有不動産全体を売却する場合は、原則として共有者全員の同意が必要です。
一方、保存行為は各共有者が単独でできるなど、すべての管理・修繕に全員の同意が必要なわけではありません。

空き家を長期間放置すれば、

  • 建物の老朽化
  • 固定資産税などの負担
  • 草木や建物の管理
  • 修繕・解体費用の発生

などの問題が生じる可能性があります。

相続した不動産を利用する予定がない場合も、放置するのではなく、
売却や取得者の決定など今後の方針を早めに検討することが大切です。

協議が進まない場合の解決策と専門家

「他の相続人から返事が来ない」「話し合うたびに意見が対立する」といった場合、
当事者間の協議だけにこだわる必要はありません。

話し合いで解決できないときは、家庭裁判所の遺産分割調停を利用できます。

話し合いがまとまらない場合は調停・審判を利用する

遺産分割調停では、裁判官と調停委員で構成される調停委員会が双方から事情を聞き、
資料などを確認しながら合意を目指します。
相続人同士で直接交渉する場合に比べ、第三者を介して論点を整理できる点が特徴です。

調停では、たとえば次のような事項について話し合います。

  • 誰がどの財産を取得するか
  • 不動産をどのように評価するか
  • 特別受益や寄与分を考慮するか
  • 現物分割・代償分割・換価分割など、どの方法を選ぶか

調停で合意できなかった場合は、原則として自動的に遺産分割審判へ移行します。
審判では、家庭裁判所が遺産の種類や性質、当事者の事情などを考慮して分割方法を判断します。

なお、調停に必要な期間は案件によって大きく異なります。
「数か月で必ず解決する」「自力なら3〜5年かかる」と一律にはいえません。

相続人同士で争いがある場合は弁護士へ相談する

相続人間で遺産の分け方について対立しており、
自分の代理人として交渉や調停・審判への対応を任せたい場合は、弁護士が主な相談先となります。

専門家ごとの主な役割は次のとおりです。

専門家主な対応分野
弁護士遺産分割の交渉、調停・審判、遺留分などの紛争
司法書士相続登記、戸籍収集、登記関係書類の作成
税理士相続税申告、税務上の財産評価、税金の相談

司法書士は相続登記の専門家ですが、相続人間で紛争がある場合に、
一方の代理人として遺産分割交渉を行うことはできません。

税理士についても、税務相談や相続税申告は扱えるものの、
相続人間の法律上の争いを代理する専門家ではありません。

ただし、相続登記や相続税申告も必要なケースでは、弁護士だけですべての業務が完結するとは限りません。
必要に応じて司法書士や税理士と連携して進めることになります。

手続きを進めるうえで確認したい主な期限

遺産分割協議そのものに一律の期限はありません。
ただし、相続に関連する手続きには重要な期限が設けられています。

期限主な手続き注意点
3か月相続放棄・限定承認原則として自己のために相続開始があったことを知った時から起算
10か月相続税の申告・納付遺産分割未了でも期限は原則延長されない
3年相続登記正当な理由なく義務に違反すると10万円以下の過料の可能性
10年特別受益・寄与分を考慮した遺産分割原則として具体的相続分による分割が制限される

3か月|相続放棄・限定承認

相続放棄や限定承認は、
原則として自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に対応します。

期間内に何もしなければ、原則として単純承認したものとみなされますが、
財産調査が終わらない場合には、家庭裁判所へ熟慮期間の伸長を申し立てることも可能です。

10か月|相続税の申告・納付

相続税の申告・納付は、原則として被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内です。

期限時点で遺産が未分割の場合、
配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を当初申告では適用できない場合があります。

ただし、「申告期限後3年以内の分割見込書」を申告時に添付し、
その後一定の要件を満たして分割すれば、特例を適用できる可能性があります。

したがって、「10か月を過ぎれば特例が完全に消滅する」と考えるのは正確ではありません。

3年|相続登記

不動産を相続した場合は、
原則としてその所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を行う必要があります。

正当な理由なく義務に違反すると、10万円以下の過料が科される可能性があります。

10年|特別受益・寄与分

相続開始から10年を経過すると、
原則として特別受益や寄与分を考慮した具体的相続分による遺産分割ができなくなります。

ただし、10年以内に家庭裁判所へ遺産分割を請求している場合などには例外があります。
「10年で特別受益や寄与分を主張する権利そのものが完全に消滅する」という意味ではありません。

放置せず必要に応じて専門家へ相談する

遺産分割を長期間放置すると、数次相続によって関係者が増えたり、
必要な資料を集めにくくなったりする可能性があります。

一方で、「○日間話し合いが進まなければ調停」
「相手が意図的に10年間逃げ切ろうとしている」といったことを外部から簡単に判断することはできません。

次のような場合は、早めに専門家へ相談するとよいでしょう。

  • 相続人同士の意見が大きく対立している
  • 相手方が長期間話し合いに応じない
  • 特別受益や寄与分を主張したい
  • 相続開始から10年が近づいている
  • 遺産分割調停を検討している
  • 相続税や相続登記の期限が迫っている

紛争や交渉については弁護士、相続登記は司法書士、相続税は税理士が主な相談先です。

遺産分割には一律の期限がなくても、時間の経過によって選択肢が狭まることがあります。
まずは相続開始日と現在の状況を確認し、期限のある手続きから優先して進めることが大切です。

まとめ

遺産分割協議そのものに一律の期限はありませんが、遺産相続に含まれる各手続きには期限があります。
代表例として、相続放棄は原則3か月以内、相続税の申告・納付は10か月以内、相続登記は原則3年以内です。
また、相続開始から10年を経過すると、原則として特別受益や寄与分を考慮した遺産分割が制限されます。
亡くなった方の財産や家族関係を早めに確定し、必要な対策を行っておくことが大切です。

相続税や遺留分に関する期限にも注意する

相続税では、基礎控除のほか、
一般に配偶者控除と呼ばれる「配偶者の税額軽減」などを利用できる場合があります。
遺産分割が未完了でも通常は申告期限が延長されないため、期限内に税務署へ申告書を提出することが必要です。
一部の特例は分割後に更正の請求を行い、税金の還付を受けられる場合もあります。

また、遺留分を侵害された場合の遺留分侵害額請求にも期間制限があります。
生命保険や死亡保険金、事業承継などが含まれる相続では、税務・法律の両面から確認しましょう。

トラブルになる前に専門家へ相談する

遺産分割を長期間行っていないことには、数次相続によって関係者が多くなるなど、
大きなデメリットがあります。死後の手続きを放置しないことが、トラブルを防ぐ第一歩です。

法的な争いがある場合は法律事務所、相続登記は司法書士事務所、節税や相続税は税理士など、
相談内容に応じて依頼先を選びましょう。
全国には初回無料相談を行っている事務所もあるため、料金や実績、解決事例などの情報を検索し、
一覧から比較する方法も役立ちます。
電話・メールで相談方法や詳細の案内を確認し、必要な知識を得たうえで早めに手続きを進めましょう。

監修者

弁護士

村上 弘和 HIROKAZU MURAKAMI

司法試験予備試験・司法試験合格を経て、生まれ故郷である福島県いわき市で弁護士として活動。
「法律を知らないことで不利益を受ける人を減らしたい」という思いから、身近で気軽に相談できる法律家を志す。
依頼者一人ひとりに寄り添い、福島・いわきの暮らしや企業活動を支える実効的な法務サービスの提供を心がけています。

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