福島県いわき市の弁護士事務所「すがた法律事務所」です。企業再生・再建交通事故、相続、離婚、不動産問題等、法律に関する問題はお気軽にご相談下さい。

弁護士は斜陽産業?

2013.09.17
所長ブログ

出張が多くて疲れ気味の所長の菅田です。

先日、私が修習時代(司法試験に合格後、実務家になる前に、全国に散らばって実務研修を受けることを「司法修習」といいます。私の時は1年半でしたが、今は1年に短縮されています。)に、秋田でお世話になった先生が、いわきに来ることになり、事前にご連絡を受けて、懇親の時を持ちました。

懐かしいお話も聞けて、本当に楽しい一時でしたが、秋田では、事件数の減少が激しく、経営的に苦しい先生も出てきているとのお話を聞き、衝撃を受けました。離婚や相続等は景気には左右されなくても(それでも景気がよい方が離婚件数は少なくなる気がしますが。)、その他の一般民事事件(特に、不動産関連、工事代金関連等)は、景気の動向に影響されるようです。

正直、長年にわたりこの業界は、経営が成り立つか否かというのは、あまり意識されてきませんでした(意識する必要がなかったというのが本当のところでしょう)。司法試験が超難関で(合格率は2%台でした)、合格人数も少なかったため、弁護士の新規供給が物理的に制限され、常に需要と供給のバランスが(需要過多の状態で)取れてきたわけです。

しかし、小泉首相時代の司法改革以来、合格者は急増し、今や合格しても就職できない修習生が数多くいる有様で、新聞等でも取り上げられ、大きな問題となっています。これは、これまで150年以上にわたり続いてきた需要と供給のバランスが(供給過多という形で)崩れてきたことに他なりません。

そして、私がより問題だと思うのは、合格者が増加した一方で、受験者の数は大きく減少していることです。5万人の受験者で合格者1000人という時代から、5000人の受験者で合格者2000人という時代になったのです(難しいのに合格しても就職口がない、これでは優秀な学生が他に行ってしまうのは当たり前です)。これが質の低下を招くのは当然であり(勿論、旧試験でも優秀な成績で合格したであろう新試験合格者は沢山いますが。)、就職難の問題は、受験者減少に更なる拍車をかけている気がします。

一方で、新規参入者の就職難と質の低下、他方で事件数の減少と既存弁護士の経営状態の悪化、これだけ見ると、弁護士業界というのは、立派な(?)斜陽産業なのかも知れません。実際、そのような意見を真面目にいう弁護士の先生方も結構おられます。

しかしながら、業界内から離れて世間を見渡すと、法的紛争に巻き込まれ、若しくは法的問題で悩んでおられる市民、中小企業の方々は多くおられます。弁護士法の規定により、我が国では、法的代理権は弁護士が独占しておりますので(簡裁等一部の代理権が司法書士に与えられていますが、極一部です。)、弁護士以外に、法的紛争の解決を直接手助けできる職業はないのです。

そうであるとしたら、弁護士業界が斜陽産業だなどと下を向いてはおられません。もしかしたら、斜陽産業にしているのは、他ならぬ弁護士自身かも知れないからです。私は、この世に法的紛争の援助を受けたいという需要がある限り、弁護士の仕事はなくならないし、その需要に本当に応えていけるなら、まだまだ成長産業になりうると考えています。そのための戦略、マネージメントこそ、これからの弁護士に求められているのではないでしょうか。

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