このページを開いてくださった読者様、こんにちは。弁護士の稲田です。
今回はスタッフブログに何か書けとのお達しがボスから出たので、拙筆ながら失礼いたします。
とはいえ、最近は仕事漬けでして、仕事以外に特に発信できる情報のストックがありません。しかし、弁護士の仕事というのは守秘義務の塊ですので、まさかこんなところで仕事の話をするわけにも参りません。
どうしましょう・・・。
ということで、最近ふと考えたことを徒然なるままに記載していきます。
(余談ですが、「徒然なるままに」と検索すると、この題名のブログの多さにびっくりします。)
* * *
「嘘も方便」という言葉がありますね。嘘も時には必要、という意味のことわざです。
このことわざからもわかるように、嘘というのは基本的に悪性であり、使って良いのはあくまで例外的なときに限るようです。
嘘が蔓延したら色々と不便ですし、他人を信用できない社会なんて息苦しくて仕方ないので、このような原理原則は非常に大切です。
だから、「嘘も方便」とはいえ、できるだけ嘘はつきたくないものです。
特に、嘘をつくべき特段の必要はないけど、個人的感情から何となく本当のことは知られたくない、という状況だと、「嘘も方便」にすらなりません。
そんなとき、「嘘はつかず相手に真実とは異なる事実を連想させる」ことができたら(良心的に)便利だったりしますよね。たぶん。
一つ、例を取りましょう。
<事例>
A君は小学校5年生の少年で、同じくクラスのB子ちゃんが大好き。でもそんなことは恥ずかしいのでクラスメートには知られたくありません。
ところがある時、おもむろにクラスメートのC子ちゃんが聞いてきました。
C子「ねえねえ、A君っていつもB子ちゃんと一緒にいるよね。A君ってばB子ちゃんのこと好きなの~?」
A君一生の不覚。まさかB子ちゃんといつも一緒にいると思われていたとは。
しかしそこでA君は機転を利かせます。そういえば、今度D美ちゃんと一緒に図画工作で使う道具を買いに甲町に行くことになっているぞ・・・。
A君「そんなことない、て言ったらB子ちゃんに失礼じゃんか。あ!そういえば今度D美ちゃんと二人で甲町に行くんだ~。いいでしょ~。」
C子「ふ~ん、そうなんだ~。(A君はD美ちゃんが好きだったのね・・・。)」
(事例終わり)
果たして上の例はごまかしに成功していると言えるのか?
そもそもこの後A君はしあわせになれるのか?
数々の疑問は浮かびますが、今は脇に追いやります。
今回、A君はC子ちゃんから「B子ちゃんが好き」「そうでもない」という2択いずれかの答えを求められていました。
これに対し、A君が照れ隠しで「そうでもない」と答えれば、それはA君の気持ちからすると嘘をついたことになってしまいます。
そこでA君は、2択いずれかの答えを回避する応答をし、その上で「そうでもない」を連想させる事柄(D美ちゃんとのデート)をC子ちゃんに伝えます。
これにより、C子ちゃんは、「デートは好きな人とするもの→A君は今度D美ちゃんとデートをする→A君はD美ちゃんが好き→A君はB子ちゃんのことはさほどでもない」
(※3つ目の連想は、その前提に「通常は好きな人は一人」という命題がC子ちゃんの思考には存在していることが必要です。C子ちゃんは純情な女の子なのです。)
つまり、A(真実)かB(嘘)いずれかの回答を求められた際に、嘘をつかずにBの事実を連想させる方法を強引に定式化すると、
1.A・Bいずれの回答も回避する返答をする。
2.Bの事実を連想させる別の事実(これは真実でないといけません)を呈示する。
となるかと思います。
上の例では、「そんなことない、て言ったらB子ちゃんに失礼じゃんか」が1に当たり、「今度D美ちゃんと二人で甲町に行く」が2に当たります。
つまり、この方法を取るためには、
① 不自然にならないようにAかBの回答を回避する返答を行なう柔軟さ
② XといえばY、YといえばZ、という社会一般的な連想の過程をできるだけ多く知っていること
③ とっさに自分が実際に体験する(した)事実の中からBの事実を連想させられるものがないかを探し出す反射神経
が必要になるといえます。
長々と解説しましたが、結局は本人の機転にかかっている、といったところでしょうか。
あんまり上の定式が役立つとは思えません。
余談ですが、弁護士・検察官・裁判官に対してA君みたいな答え方をすると、「そんなことは聞いていないので、B子ちゃんが好きかそうでないかだけ答えてください」と追撃されますのでお気をつけください。
国語とかで、上みたいな事例を生徒が考えて発表し、事例の解説を自分で行なう、なんていう授業があっても面白いかもしれませんね。
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