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死亡退職金には相続税がかかる?「相続財産」となる理由を解説
2024.08.09

人が亡くなったとき、その方が勤めていた会社から支払われる「死亡退職金」があります。
このお金には相続税がかかる可能性があります。
では、死亡退職金がどうして相続すべき財産と見なされ、相続税の対象になるのでしょうか?

「相続財産」とは、故人が残した財産のことで、家族などの相続人がこれを引き継ぎます。
死亡退職金も、故人が生前の労働によって得た権利の一部として扱われるため、相続財産に含まれるのです。
この記事では、死亡退職金と相続、相続税の関係について解説します。

なぜ死亡退職金に相続税がかかるのか

死亡退職金は、故人が遺した財産の一部であり、遺族が受け取ることができます。
相続税は、遺産が一定の金額を超える場合、遺族が支払わなければならない税金です。
死亡退職金が相続税の対象となる理由は、これを受け取ることで遺族の財産が増えるからです。
具体的な手続きとしては、遺言や遺産分割協議を通じて、遺族が受け取る死亡退職金を申告します。
その上で、財産の価値を計算し、相続税が課税されます。
相続税の計算方法や遺産の調査は、税理士や弁護士などの専門家への相談をおすすめします。

死亡日から3年以内に支給が確定している場合は「相続税」

死亡退職金が死亡日から3年以内に支給が確定している場合、相続税が適用されます。
遺族が受け取る死亡退職金は、遺産の一部として扱われ、相続税の対象となります。
そのため、受け取る金額が一定額を超える場合は、遺族が遺産を相続する際に相続税を支払わなければなりません。
具体的な対策については、遺産分割協議や遺言に応じて検討しましょう。

死亡日から3年経過後に支給が確定した場合は「所得税(一時所得)」

死亡退職金が死亡日から3年経過後に支給が確定した場合、
その時点では相続税ではなく所得税(一時所得)が適用されます。
この場合、遺族が受け取る死亡退職金は、支払を受けた法定相続人など、
相続した人の所得の一部として扱われ、所得税が課税されます。具
体的な計算方法や申告については、税理士や弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。

死亡退職金の課税対象

死亡退職金は、故人が亡くなった際に支払われる手当であり、
家族にとって大きな支えとなります。
課税対象については、所得税と相続税の両方が関係しています。

所得税においては、生前に故人が働いていた会社から支給されるため、
死亡退職金は雑所得に該当します。ただし、非課税の範囲内であれば、所得税はかかりません。
非課税の限度額は、年齢や勤続年数によって異なるため、具体的な金額を調べる必要があります。

一方、相続税では死亡退職金も財産として相続されるため、相続税の対象となります。
ただし、遺族に対する弔慰金は非課税対象であり、適切な手続きを行えば、相続税の負担を軽減できます。

死亡退職金の受け取り条件とは?退職金制度があるなら必ずもらえる?

死亡退職金は、会社で働いている人が死亡した際に遺された家族に支給される制度です。
しかし、退職金制度があるからといって必ずもらえるわけではありません。
それぞれの企業の規定や条件によって異なりますので、注意が必要です。

基本的には法定相続人が受け取る

死亡退職金は、基本的には法定相続人が受け取ることになります。
法定相続人とは、配偶者、実子、両親などを指します。

死亡退職金の受取条件

死亡退職金の受取条件は、企業ごとに異なります。
まず、企業が死亡退職金制度を設けているかどうか確認が必要です。
制度がある場合でも、勤続年数や業務内容、過去の評価などが条件となることがあります。

また、受取条件に該当するかどうかは、相続権のある遺族が企業と連絡を取り、
確認する必要があります。遺族が適切な手続きを行い、受取条件を満たすことが重要です。

死亡退職金の支払い時期

死亡退職金の支払い時期は、働いている家族が亡くなった後、
遺族が手続きを行うことで支給されます。
家族が亡くなったことを、所属する会社に報告し、必要書類を提出した上で受け取ることができます。必要書類としては、死亡診断書、遺族の戸籍謄本、口座情報などです。

死亡退職金は、遺族の生活を守ることを目的としています。
遺族が困窮しないように、会社は迅速に手続きを行い、遺族に支給されることが望ましいです。

ただし、遺族が必要書類を揃えるまでに時間がかかる場合や、会社と連絡が取れない場合など、
支払い時期が遅れることもあります。そうした状況では、専門家を依頼することも重要です。

死亡退職金は受取人固有の財産?それとも相続財産?

死亡退職金は、個人が勤務していた会社から、その死亡に伴って支給される金額であり、
配偶者や遺族が受け取ることが一般的です。
死亡退職金が受取人固有の財産か、それとも相続財産かという問題については、以下のように考えられます。

まず、死亡退職金は、故人が生前に勤務していた会社から、その死によって発生した権利として支給されます。
したがって、原則としては、受取人固有の財産と考えられます。

死亡退職金は原則として遺産分割協議の対象には含まれませんが、
ただし、退職給与規定等に死亡退職金の受取人が定められていない場合、
その死亡退職金は本来の相続財産に該当して、遺産分割の対象となる場合があります。

死亡退職金が受取人固有の財産か、相続財産に相当するかどうかは、その事例にもよりますが、
一般的には、受取人固有の財産と考えられることが多いです。

死亡退職金を遺産分割協議書に記載すべき?

死亡退職金は遺産分割協議書に記載すべきでしょでか?
死亡退職金が遺族などの法定相続人に支給される場合は、
原則として遺産分割協議書に記載する必要はありません。

遺産分割協議書は、遺産相続に関する合意事項を記載するものであり、
遺族が受け取る死亡退職金は遺産分割の対象外であるためです。

特別受益と死亡退職金

特別受益とは、親などの遺族から生前に特定の子供にだけ与えられた財産のことです。
親が亡くなった後、遺産分割をする際に、
この特別受益としてお金や不動産をすでに受け取った子供は、
他の兄弟姉妹より多く財産をもらっているため、遺産分割で少なく受け取ることがあります。

死亡退職金は、会社が従業員が亡くなった時に、その家族に支払うお金です。
この退職金は、亡くなった人が働いていた功績を認めて支払われるもので、
遺族の生活を守る大切なものです。

死亡退職金が特別受益になるかどうかは、
その退職金が法定相続人に均等に分配されるか、特定の相続人にのみ支払われるかによります。
例えば、退職金が亡くなった人の配偶者にだけ渡される場合、
それは特別受益とみなされることがあります。
このように特別受益として扱われる場合、遺産分割の際に考慮される必要があります。

死亡退職金と相続税課税の関係性

死亡退職金と相続税課税の関係性について解説します。
死亡退職金は遺族が受け取る特別な手当で、相続財産に含まれることがあります。
しかし、一定額までの死亡退職金は非課税であり、相続税の負担を軽減できます。

非課税措置は、死亡退職金が金額限度内であれば、相続税から控除される特例となります。
ただし、限度額を超えた場合は、相続税の対象となりますので注意が必要です。

相続税の申告方法や節税対策について専門家に相談することが重要です。
また、故人の債務による相続放棄や、遺言により遺贈をする場合など、さらに複雑な事例も見られます。
相続税の計算や申告手続きだけでなく、一連の相続については複雑であり、
誤った対応をしてしまうと遺族に不利益をもたらすことがあり、注意が必要です。

受け取った死亡退職金と「所得税」?

死亡退職金とは、従業員が亡くなった場合にその遺族に支払われる退職金のことです。
この退職金は、故人が生前に勤めていた期間や職務に対する敬意として支払われます。
しかし、このような退職金を受け取った際には、「所得税」が発生することがあります。

  • 死亡退職金は、一定の金額までは非課税です。つまり、税金がかからない部分があります。
    この非課税額は、故人の勤続年数によって異なりますが、
    基本的には長く勤めていたほど高額になります。
  • 非課税額を超える部分については、所得税が課されることになります。
    この税金は、退職金の総額から非課税額を引いた金額に対して計算されます。
  • 税金の計算や申告については複雑になることがありますので、
    税理士や専門家に相談することをお勧めします。

死亡退職金の所得税源泉徴収について

死亡退職金には所得税が源泉徴収されますが、
死亡退職金は故人の所得に該当し、所得税が控除されることが基本となります。
そのため、最初に死亡退職金にかかる所得税の計算を行います。

所得税源泉徴収額を決定する方法として、
基本的には税率との金額表を参考に計算されることとなります。
しかし、一定の条件が満たされた場合は、特別控除や給与所得の控除等が適用されることもあります。

所得税については、関連する法人税や地方税も考慮に入れる必要がある場合があります。
相続については、遺産の分割や税率の計算など、複雑に問題が絡んでいるケースもあり、
弁護士や税理士など、それぞれの業務について専門家への相談をおすすめします。
他の士業と連携している場合もあり、ワンストップで手続きを行うことも可能です。

死亡退職金と弔慰金の違い

死亡退職金弔慰金は、どちらも亡くなった方の遺族に支給される金銭ですが、
その性格や目的が異なります。

死亡退職金は、故人が勤めていた企業がその人の働きに対して
それに相当する金額を支給するもので、故人の所得の一部として扱われます。
一方、弔慰金は、亡くなった方の遺族に対する慰労のために支給される金額であり、
一般には厚生労働省が定める規定に基づいて計算されます。

死亡退職金は所得税や相続税の対象となりますが、弔慰金は非課税とされることが一般的です。
ただし、弔慰金には金額の上限が設定されており、
上限を超えた場合は課税の対象となることがあります。

死亡退職金と他の相続財産との合算方法

死亡退職金は、故人が勤務していた企業から支給される金額で、
遺族に対する生活の支援を目的としています。
他の相続財産と合算する際には、まず死亡退職金の金額を確認し、
それを相続財産の一部として計算に加えます。

次に、他の相続財産(不動産、土地、預貯金、生命保険の受取金など)を合算し、総額を算出します。
これを基に、相続人ごとの分割方法を協議し、遺産分割協議書を作成します。

遺産分割協議書が全員が納得する内容でまとまったら、相続税を申告の上、納税が必要です。
相続税の計算方法は複雑であり、死亡退職金を含めた合算方法や控除額などを正確に把握することが重要です。
税務調査により申告漏れが発覚した場合には、追加で課税請求が行われる場合もあります。

相続税の申告手続き

相続税の申告手続きは、相続が開始された日から10か月以内に行わなければなりません。
まずは、相続人が誰であるかを調査し、相続財産の合計を計算・評価します。

次に、申告書類を作成し、相続税の計算を行います。
この時点で、各種控除や非課税の適用が重要です。
また、相続税の納付期限は、申告期限から2か月以内となっていますので、注意してください。

税務署への申告手続きが終わったら、相続財産の名義変更手続きを行います。
不動産や土地などの名義変更は、登記手続きが必要ですので、
司法書士や弁護士と連携して進めることが望ましいです。

死亡退職金には相続税の非課税枠がある

死亡退職金は受け取る権利が遺族にあるため、相続税の対象となります。
しかし、死亡退職金には相続税の非課税枠が存在しています。
これにより、遺族は死亡退職金を受け取る際に、
ある程度の金額まで相続税を支払わずに済むことができます。

相続税の非課税枠の計算シミュレーション例

相続税の非課税枠の計算は、複数の要素が関係しており、一概には言い切れませんが、概要としては以下のようになります。

  • 遺産総額が5000万円
  • 死亡退職金が2000万円
  • 配偶者の基礎控除額が4800万円

この場合、相続税の非課税枠は、遺産総額から配偶者の基礎控除額を引いた金額となります。
つまり、5000万円 - 4800万円 = 200万円が非課税枠となります。
この金額までなら、遺族は相続税を支払わずに済むわけです。

非課税枠の適用条件

死亡退職金の相続税の非課税枠を適用するためには、いくつかの条件があります。
以下に主な条件を挙げましたので、確認しておきましょう。

  • 死亡した方が勤務していた会社の規定によって死亡退職金が支払われること
  • 死亡退職金が配偶者や子どもなどの遺族に支払われること
  • 死亡退職金の金額が適正であること

適用条件を満たす場合でも、遺族に贈与税の負担が生じることがあります。
より詳しい適用条件や計算方法については、専門家への相談をおすすめします。

非課税枠の上限額

非課税枠は、所得税や相続税などの課税対象から除外される金額のことです。
これにより、一定額までの財産や所得が非課税となり、節税できるメリットがあります。
非課税枠の上限額は、法定で定められた金額であり、
例えば相続税の場合、基礎控除額として約3000万円が非課税となります。
また、配偶者に対しては、特別な控除額が認められます。

ただし、非課税枠は、個別の税目ごとに異なるため、注意が必要です。
例えば、贈与税では、一定額までの贈与が非課税となる制度がありますが、
その額は相続税とは異なります。
具体的な非課税枠の上限額や相続については、税理士や司法書士、
弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
無料相談を受付している事務所もありますので、ぜひご相談ください。

相続税とその他の税金の違い

相続税とその他の税金との違いについて解説します。

  • 相続税は、ある人が死亡した際に、遺族が受け取る遺産にかかる税金です。
    これに対して、所得税住民税は、個人が受け取る所得にかかる税金です。
  • 相続税は遺産全体の価値に応じた課税ですが、
    所得税や住民税は、対象となる所得の金額に応じて課税されます。
  • 相続税の申告は、遺産の相続が発生した後の10ヶ月以内に行う必要があります。
    一方、所得税や住民税の申告は、毎年2月16日~3月15日に行われる確定申告により行います。
  • 相続税は、遺産の価値に応じて法定相続人が納税義務者となります。
    しかし、所得税は受取人が納税義務者となり、住民税は対象となる住民が納税義務者となります。
  • 相続税では、配偶者や法定相続人が受け取る遺産に対して、一定額の基礎控除が適用されます。
    その他の税金においても、非課税控除や控除額が設けられていることがありますが、
    適用条件や限度額が異なります。

相続税とその他の税金には、課税対象や納税義務者、申告期限などで違いがあります。

死亡退職金の受け取りで注意すべきポイント

死亡退職金は、故人が勤めていた会社から遺族に支払われるもので、
遺族が生活の支えとする重要な財産です。注意すべきポイントは以下の通りです。

  • 手続き期限:死亡退職金の受け取り手続きには期限があります。
    遅れると受け取れなくなる場合があるため、早めの手続きが望ましいです。
  • 受取人:原則、配偶者や子どもが受取人となりますが、
    遺言書や規定によって異なる場合があります。確認しておくことが大切です。
  • 所得税:死亡退職金は所得税の対象ですが、非課税部分もあります。
    課税対象額や控除額を確認し、正確な申告が必要です。
  • 相談窓口:死亡退職金に関する手続きや税金については、専門家に相談することも大切です。
    税理士や弁護士に相談することで、適切な対応が可能になります。

弔慰金の取扱いは?

弔慰金は、遺族に対して支払われる手当金のことです。取り扱いについては以下が重要となります。

  • 税金:弔慰金は所得税の対象ですが、非課税限度額があります。
    その額を超えた場合には、申告が必要です。
  • 支払者や条件:弔慰金は会社や労働組合、保険会社から支払われることがあります。
    支払条件や金額はそれぞれ異なるため、確認しておく必要があります。
  • 贈与税:弔慰金が非課税の場合でも、贈与税が発生することがあります。
    贈与税の計算方法を理解し、適切な対応を行いましょう。
  • 相続税との関係:弔慰金は全額、遺産として扱われず、相続税の対象外です。
    心配な場合には実績のある専門家に相談しましょう。

死亡退職金の受取人を遺言で指定できるか?

死亡退職金の受取人は通常、配偶者や子どもなどの遺族が対象ですが、
遺言で指定することも可能です。ただし、注意が必要な点があります。

  • 会社の規定:会社が定める規定によっては、
    遺言での受取人指定が認められていない場合があります。確認しておくことが重要です。
  • 遺言書の作成と登録:遺言書を作成し、家庭裁判所に登録することで、
    受取人の変更が認められることがあります。
  • 受取人の同意:遺言で指定された受取人が死亡退職金を受け取るには、その同意が必要です。
    同意が得られない場合、他の遺族が受け取ることとなります。

遺言で受取人を指定することで、財産の分配を柔軟に行えることがありますが、
やはり注意が必要です。

死亡退職金の受取人がいない場合

死亡退職金の受取人がいない場合、まず関係者間で協議を行い、受取人を見つけることが大切です。
例えば、遺言が残されている場合や法定相続人がいる場合、
それらを考慮した上で受取人を決定します。

しかし、協議が難しい場合や受取人が見つからない場合は、
弁護士や司法書士などの専門家に相談することが重要です。

受取人が未成年の場合の対応

死亡退職金の受取人が未成年の場合、特別な対応が求められることがあります。
まず、未成年者が受け取る金額が大きい場合、その管理方法について考慮が必要です。
例えば、親権者が代理人として受け取り、
管理する場合や信託銀行を利用する場合などが考えられます。

相続税とその他の税金には、課税対象や納税義務者、申告期限などで違いがあります。

まとめ

死亡退職金は、ある人が亡くなったときにその人が勤めていた会社から支払われるお金です。
この死亡退職金には、相続税がかかる場合があります。
なぜなら、この退職金は相続人が受け取る財産と見なされるからです。

  • 死亡退職金は、故人の勤務に対する対価として支払われるため、
    故人の財産の一部とみなされます。
  • 故人が亡くなったことによって発生する退職金であるため、
    故人の死が原因で支払われるものとされます。
  • この退職金は、故人の相続人が法的に受け取る権利を持っているため、相続財産に含まれます。

死亡退職金は故人の勤務の結果として得られたものであり、それを受け取るのは相続人ですから、
その金額に対して相続税の対象となることがあります。
相続税の計算にはこの退職金も含まれるため、税額を把握するためには専門家に相談することが大切です。

相続については、それぞれに異なる事情があるため、ぜひお早めに専門家にご相談いただきたいと思います。
相続問題でお悩みの方は、当事務所に気軽にご相談ください。

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