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成年後見制度とは?
2024.11.30
相続
成年後見制度とは?

成年後見制度とは、判断能力が不十分な高齢者や障害者を法的に支援するための制度です。
認知症や知的障害、精神障害などにより日常生活での財産管理や契約行為が難しい場合、
この制度を利用することで、本人の権利や財産を守ることができます。
家庭裁判所が選任する後見人が、本人の生活や財産に関するサポートを行い、
安心した生活を送れるよう支援する仕組みです。

成年後見制度を利用することで、
判断能力が不十分な方が安心して生活できる環境を整えることが可能です。

この記事では、成年後見制度について解説します。

成年後見とは?

成年後見制度は、判断能力が不十分な人々を法的に保護し、支援するための制度です。
認知症や知的障害、精神障害などの理由で日常生活や財産管理が難しい場合に活用されます。
この制度は、家庭裁判所が後見人を選任することで、
本人の生活を支えるとともに、不利益を防ぐことを目的としています。

成年後見制度には、大きく分けて「法定後見」と「任意後見」の2種類があります。

法定後見は、判断能力の程度に応じて「後見」「保佐」「補助」の3つがあります。
後見は、判断能力がほぼない場合に適用され、財産管理や契約などの法律行為を後見人が代理します。保佐は判断能力が著しく不十分な場合、
補助は判断能力が一部不十分な場合に適用され、必要に応じてサポートを行います。

任意後見は、判断能力があるうちに、将来の後見人をあらかじめ選んで契約を結んでおく制度です。
判断能力が低下した際に、契約内容に基づいてサポートが行われます。
任意後見は、本人の希望に基づいて後見内容を自由に設定できる点が特徴です。

制度の利用を検討する際には、弁護士や専門家に相談をおすすめします。

成年後見制度を利用する目的

成年後見制度を利用する目的は、
本人の判断能力が低下し、財産管理や契約手続きなどの法律行為が適切に行えなくなった場合、
後見人が本人に代わってそれらの行為を行い、本人の利益を守ることです。

  • 本人が認知症や精神疾患により判断能力が低下し、
    日常生活や法律行為が適切に行えなくなった場合
  • 高齢や病気で判断能力が不十分になり、財産管理や契約手続きが難しくなった場合
  • 本人の身上監護や生活支援が必要になった場合
  • 相続や遺産分割などで家族間のトラブルが発生し、中立的な立場での対応が求められる場合

成年後見制度は、相続や遺産分割など家族間でトラブルが発生することを防ぐ目的でも活用されます。遺言書がない場合や家族の意見が分かれる場合など、
後見人が中立的な立場で適切な対応ができるためです。

成年後見制度を利用することで、
不動産登記や生活費の管理、税金の支払いなど多岐にわたる業務が円滑に進みます。
後見人は本人の権利や利益を守るために活動し、責任を持って行動することが必要です。

法定後見と任意後見の違い

法定後見任意後見の違いは主に、契約の自由度や手続きの流れ、費用にあります。

法定後見は、
裁判所の審判を経て選任される制度であり、本人や家族が直接後見人を選任することはできません。
また、手続きに時間と費用がかかることが多く、
本人の意向に沿った制度や後見人が選任されない可能性もあります。

一方、任意後見の契約は、
本人が生前に自ら後見人を選び、後見開始の条件や権限範囲を設定できるため、
より柔軟に対応することができます。手続きも簡素であり、費用も抑えられることが多いです。

しかし、任意後見契約にもデメリットがあります。
たとえば、契約後に後見人が亡くなったり、
後見人が本来の職務を果たさないトラブルが発生した場合、迅速に対応できないことがあります。

どちらの制度を選ぶかは、本人や家族の状況によって異なります。
専門家に相談し、適切な方法を検討することが大切です。

法定後見とは?

法定後見とは、判断能力が低下している状態の人を支援するために、
家庭裁判所が選任する後見人が本人の財産管理や日常生活をサポートする制度です。
この制度は、認知症や知的障害、精神障害などで判断能力が不十分になった人を対象としています。

法定後見は、本人の判断能力の程度によって
後見、保佐、補助という3つの種類に分かれています。

法定後見の手続きは、家庭裁判所に申立てを行うことで開始します。
後見人には家族が選任されることが多いですが、
必要に応じて第三者である専門職(弁護士や司法書士など)が選ばれる場合もあります。

この制度は、本人の権利を保護し、安心した生活を送れるように支援することを目的としています。
しかし、後見制度の利用には費用や手続きの複雑さもあるため、
専門家に相談しながら進めることが大切です。

法定後見の3つの類型と後見人等の権限

法定後見には、後見、保佐、補助という3つの類型があります。

  1. 後見
    判断能力がほとんどない場合に適用され、後見人が財産管理や重要な契約を代行します。
    認知症や重い障害があるために判断能力が著しく低下した本人に代わって、
    財産管理や契約の締結など日常的な法律行為を代行するものです。
    後見人が選任されることで、本人の財産や権利を適切に守ることができるようになります。
  2. 保佐
    後見よりも判断能力の低下が軽度で、
    特定の法律行為のみ支援が必要な場合に適用される制度です。
    保佐人は本人の代理人として、本人に代わって特定の法律行為を行います。
    重要な契約を保佐人が同意または代理して行います。
  3. 補助
    本人が法律行為を行う際に、補助人が協力する形で支援を行います。
    判断能力が一部欠けている場合に適用され、
    本人が希望すれば補助人が特定の行為をサポートします。
    補助人は、本人の同意を得て権利行使や義務の履行を行い、
    適切な判断を補助します。

後見人、保佐人、補助人は、
本人のためになると判断すれば財産管理や契約締結、
相続などの法律行為を代行する権限を持っています。
しかし、その範囲はそれぞれ異なり、権限が制限される場合もあります。
たとえば、財産管理に関しては後見人が権限を持ちますが、
補助人は本人が一定の判断能力を持っているため、権限が制限されます。

法定後見制度を利用するには、裁判所の手続きが必要です。
本人や家族、親族から申立てがあれば、裁判所が事実認定を行い、適切な制度と後見人等を選任します。

法定後見の申立手続き

法定後見制度は、認知症、知的障害、精神障害などの事情により、
判断能力が不十分な成年者を保護し支援するための制度です。
法定後見の申立手続は、次のような流れで行います。

  1. 家庭裁判所に申立を行い、審判手続きが開始されます。
    本人、配偶者、4親等内の親族等が申立てをすることができます。必要に応じて、司法書士や弁護士に相談して申立書類を作成しましょう。
  2. 家庭裁判所が専門家による調査や本人の意見聴取を行い、後見開始の是非を判断します。
    必要に応じて医師による鑑定が行われることもあります。
  3. 家庭裁判所が後見開始を決定した場合
    本人の判断能力の程度に応じて「後見」「保佐」「補助」のいずれかの類型が選択され、
    後見人等(成年後見人、保佐人、補助人)が選任されます。
    後見人等は、本人の親族や専門職(弁護士、司法書士など)から適切な人物が選ばれます。
  4. 後見開始の審判が確定すると、
    法務局で成年後見登記が行われ、後見人等の権限が証明されます。
  5. 後見人等は、本人の財産管理や身上保護を行うとともに、
    定期的に家庭裁判所へ後見事務の報告を行います。
    家庭裁判所は、この報告をもとに後見事務の遂行状況を監督します。

この制度を利用する際には、申立手数料や登記手数料などの費用が必要となります。
また、経済的に余裕がない方のために、
法テラスによる援助制度や自治体による市民に向けた助成制度、
福祉に関連する制度が利用できることもあります。

任意後見とは?

任意後見とは、将来、自分の判断能力が低下した場合に備えて、
あらかじめ信頼できる人(任意後見人)を選び、
その人に財産管理や生活支援などの権限を委任しておく制度です。
これは、本人の意思で後見人を指定する点で、
判断能力が低下した後に家庭裁判所が後見人を選ぶ「法定後見」とは異なります。

任意後見を利用するには、まず公証役場で公正証書を作成し、
任意後見契約を締結します。
この契約には、どのような場面で後見人が活動を開始するか、
具体的にどのようなサポートを行うかを明記します。

本人の判断能力が低下したときには、
家庭裁判所の認可を得て任意後見人が正式に活動を開始します。
これにより、本人の財産や生活に関する決定を信頼できる人に委ねることが可能となり、
不正やトラブルを防ぐことができます。

任意後見は、自分の方針や希望に沿った支援体制を準備できる点で、
将来に備える有効な手段です。
契約内容を慎重に検討し、自分の意思を正確に反映させるためにも、
弁護士に相談しながら進めることが大切です。

任意後見の特徴

任意後見契約は、本人が判断能力を有する間に、将来の判断能力低下に備えて
信頼できる人や専門家(弁護士、司法書士など)と契約を締結する制度です。
この契約により、本人の判断能力が低下した際に指定された任意後見人が、
財産管理や法律行為を代行することができます。

  1. 本人が自ら選んだ人を後見人とすることができます。
  2. 法定後見制度と比較して、本人の意思をより反映させやすいです。
  3. 契約内容(後見開始の条件や権限の範囲など)を柔軟に設定できます。

任意後見契約の流れ

  1. 本人の判断能力低下
    医師の診断等により、本人の判断能力の低下が確認されます。
  2. 家庭裁判所への申立て
    本人、配偶者、四親等内の親族、任意後見受任者等が、任意後見監督人選任の申立てを行います。
  3. 任意後見監督人の選任
    家庭裁判所が任意後見監督人を選任します。この選任により、任意後見契約が発効します。
  4. 任意後見人の職務開始:任意後見監督人の選任後、任意後見人が職務を開始します。

任意後見人の役割

契約で定められた範囲内で、本人の財産管理や法律行為を代行します。
定期的に任意後見監督人に報告を行い、その監督を受けます。

任意後見監督人の役割

任意後見人の事務を監督し、必要に応じて家庭裁判所に報告します。
不正行為があった場合は、任意後見人の解任を請求することもできます。

任意後見契約は、本人の意思を尊重しつつ将来の不安に備えることができる制度ですが、
適切に機能させるためには、信頼できる任意後見人の選択と、契約内容の慎重な検討が重要です。

任意後見の申立手続きの流れ

任意後見の契約は、必ず公正証書での作成が必要です。
契約締結後、法務局で任意後見契約の登記を行います。

  1. 任意後見契約の締結
    本人と任意後見人となる人が、公証役場で「任意後見契約」を結びます。
    この契約では、後見人が行う具体的な支援内容を記載します。
    契約は公正証書で作成し、公証人の立ち会いが必要です。
  2. 家庭裁判所への申立て
    本人の判断能力が低下した際、家庭裁判所に任意後見監督人の選任を申し立てます。
    任意後見監督人は、後見人の業務を監督する役割を果たします。
  3. 任意後見監督人の選任
    裁判所が任意後見監督人を選任します。
    この段階で、契約に基づく任意後見が正式に開始されます。
  4. 後見業務の開始
    任意後見人は、契約内容に従い、本人の生活や財産管理を支援します。
    監督人が業務を適切に行っているかチェックすることで、不正を防ぎます。

任意後見契約は、本人が判断能力を十分に有している間に締結する必要があります。
また、信頼できる人を後見人に選ぶことが重要です。

成年後見制度のメリット

成年後見制度のメリットは、本人の意思にかかわらず、
後見人が適切な財産管理と身上監護を行うことで、
本人や家族の利益を守ることができる点です。

特に、任意後見制度の活用することで、
本人が健康で判断能力があるうちに
将来的な財産管理や身上監護の方法を事前に決めておくことができます。
例えば、不動産の売却や預貯金の管理など、複雑な手続きを代行することで、
本人の財産を守ることが可能です。
また、日常的な生活費の支払いから、大きな資産の運用に至るまで、
必要に応じた柔軟な対応ができます。

また、成年後見制度は悪意のある第三者から本人を保護する役割を果たします。
詐欺や不正な契約から本人を守ることで、不当な損失を防ぐことができます。

成年後見制度を利用することで、家族の負担を軽減することもできます。
判断能力が低下した家族の財産や生活を適切に支えることで、
家族が安心して自分たちの生活を送ることができます。

詐欺や不要な契約の防止

後見人が財産管理や契約手続きを担ってくれるため、
本人の判断能力が不十分な状況での不利益な契約や悪質な勧誘に対する対策が可能です。
後見人が選任されることで、電話や訪問による詐欺や不要な契約を未然に防ぐことができるでしょう。

預貯金の管理

後見人が財産管理を担当するため、
本人の判断能力が低下しても後見人制度で預貯金の管理が可能です。

例えば、後見人は本人の口座を管理し、
生活費の支払いや税金の納付、遺産相続税の対策などを行います。
本人に代わり預貯金の管理を適切に行い、相続の対策も含め、
安心して生活できる環境を整えることができます。

介護施設との契約

後見人は本人の意思に基づき、介護施設の選定や契約締結、契約内容の確認などを行います。
入所する施設を決めるだけでなく、必要に応じて証明書や診断書の取得も行います。
また、トラブルや契約条件の変更が発生した場合も、後見人が適切に対応し、本人の権利を守ります。

安心した生活の確保

成年後見制度は、判断能力が不十分な方を法的に支援する仕組みで、
不動産、相続、保険金に関しても大きなメリットがあります。

不動産の管理と売買

本人が所有する不動産の適切な管理や必要に応じた売却が可能になります。
例えば、維持が難しい空き家を売却して生活費に充てることや、
賃貸物件の管理を後見人が代行することで、本人の利益を守ることができます。
後見人の判断は家庭裁判所の監督下で行われるため、
不動産の取引でのトラブルを防ぐことができます。

相続手続きの代行

相続が発生した際、判断能力が不十分な方が相続人となる場合、
後見人が遺産分割協議に参加し、本人の利益を守る形で手続きを進めます。
これにより、遺産分割で不利な取り決めをされるリスクが軽減され、
公正な結果が得られるようになります。

保険金の受け取りと活用

例えば、本人が保険金を受け取る権利を持っている場合
後見人が代わりに手続きを行い、
受け取った保険金を本人の生活費や医療費に活用することが可能です。

成年後見制度は、不動産、相続、医療や保険金といった複雑な手続きをサポートし、
本人の権利や財産、また安心できる生活を守るために役立ちます。

成年後見制度のデメリット

成年後見制度は、判断能力が低下した人を法的に支援する重要な仕組みですが、
利用する際にはいくつかのデメリットも考慮する必要があります。

まず、手続きが複雑で時間がかかります。
成年後見制度を利用するには、家庭裁判所への申立てが必要で、
これに伴う書類作成や費用負担、審査期間が発生します。
また、家庭裁判所の判断を待つため、利用開始までに数ヶ月を要することもあります。

利用開始後も後見人には家庭裁判所への定期的な報告義務があり、その負担が生じます。
財産の管理状況を細かく記録し、裁判所に提出する必要があるため、
後見人の役割を担う人にとっては負担が重く感じられることがあります。

さらに、本人の財産の処分や重要な契約を行う際には、
後見人が家庭裁判所の許可を得ることが必要です。
迅速な意思決定が難しくなる場合があり、本人や家族が感じる自由度が制限されることがあります。

成年後見人に報酬を払う必要がある

成年後見人は、家庭裁判所の選任を受けて、本人の財産管理や生活支援を行う役割を担います。
この業務には専門的な知識や多くの労力が求められるため、
成年後見人には報酬が支払われる仕組みになっています。
報酬額は、家庭裁判所が本人の財産状況や後見人の活動内容を考慮して決定します。
一般的には月数万円程度ですが、
財産が多い場合や複雑な管理が必要な場合にはそれ以上になることもあります。

この報酬は、本人の財産から支払われるため、財産が限られている場合には
生活費や医療費などに影響を及ぼすことがある点がデメリットといえます。
ただし、家庭裁判所が本人の財産状況を十分に考慮して適正な額を決定するため、
不当に高額になることはありません。

手続きに手間がかかる

後見制度を利用する際、手続きに手間がかかります。
まず、任意後見契約や法定後見開始の申立を行うために、裁判所への手続きが必要です。

手続きには、専門的な知識を持つ司法書士や弁護士に依頼することが多く、費用が発生します。

財産を親族の思うように使えない

後見制度を利用すると、財産を親族の思うように使えないことがあります。
後見人が任命されると、本人の財産や契約に関する権限が制限され、
親族が自由に運用できなくなる場合があります。

親族間のトラブル

後見制度を利用する際には、親族間のトラブルに注意が必要です。
後見人の選任や財産の管理、遺産分割などで意見の相違が発生し、
トラブルに発展することがあります。

後見人の不正リスク

後見人は、本人(被後見人)の財産や権利を守るための役割を担いますが、
その一方で、財産管理を悪用される可能性がゼロではありません。

後見人の不正として考えられる例には、
被後見人の財産を個人的に使用する、資産を第三者に不当に譲渡する、
管理状況を隠蔽するなどがあります。
このような行為が発覚すると、被後見人の生活が脅かされるだけでなく、
財産が大きく減少する恐れがあります。

成年後見人になれる人

成年後見人になれる人は、
法律で定められた条件を満たし、家庭裁判所によって選任された人に限られます。

まず、成年後見人になれるのは、被後見人の生活を支援できる適切な人物です。
親族(配偶者や子どもなど)が選ばれることが多いですが、
親族以外の第三者が選任される場合もあります。
また、弁護士や司法書士、社会福祉士といった専門職が成年後見人になるケースもあります。
特に財産が多い場合や親族間での調整が難しい場合には、専門家が選ばれることが一般的です。

一方で、成年後見人になれない人もいます。
たとえば、未成年者や破産者、被後見人本人との間で利害関係がある人などは、
法律上成年後見人になることができません。
また、過去に犯罪歴があるなど、裁判所が適任ではないと判断した場合も選任されません。

成年後見人の選任は家庭裁判所が行い、被後見人の利益を最優先に考えて適切な人物を決定します。
もし成年後見人の選任を検討している場合や不明点がある場合は、
弁護士に相談することをおすすめします。

後見人に求められる資格

後見人には法定後見人と任意後見人がいますが、家庭裁判所によって選任される後見人には、
特別な資格や免許が必要なわけではありません。
しかし、一定の条件を満たしていることが求められます。

後見人として適任とされる人は、
被後見人の利益を第一に考え、責任感を持って職務を遂行できる人物です
一般的には、家族や親族が選ばれることが多いですが、
状況によっては第三者である専門職(弁護士、司法書士、社会福祉士など)が選任される場合もあります。

  • 20歳以上の成年者
  • 判断能力があり、財産管理や契約締結が遂行できること
  • 信頼性が高く、責任感があること

後見人には、被後見人の財産を適切に管理し、日常生活をサポートする責務があります。
そのため、被後見人との信頼関係や、法律や財務に関する基礎的な知識が必要です。
後見人選任後は、定期的に家庭裁判所へ報告書を提出する義務も課されます。

一方で、以下のような人は後見人になれない場合があります

  • 未成年者
  • 破産者
  • 過去に不正行為や重大な犯罪を行った経歴がある者
  • 被後見人との利益が対立する可能性がある者

家庭裁判所が選任する法定後見人の場合、適任者と認められることが必要です。
任意後見人の場合は、本人から信頼され、関係が良好であることが求められます。

成年後見人の取消

成年後見人の取消とは、すでに選任された成年後見人の職務を終わらせ、
その地位を解く手続きのことを指します。
この手続きは、成年後見人が職務に適していない場合や、不適切な行動をした場合に必要とされます。

例えば、成年後見人が後見対象者(本人)の財産を適切に管理していない、
不正に使用している、または本人の利益に反する行為を繰り返している場合、
取消が求められることがあります。
さらに、成年後見人が高齢や病気などで職務を果たすことが困難になった場合にも、
取消が検討されます。

取消を行うには、家庭裁判所に申し立てを行う必要があります。
申し立てを行えるのは、本人、親族、その他利害関係者、または市区町村長などです。
裁判所は申し立て内容を調査し、適切であると判断した場合に成年後見人の地位を取り消します。
その後、新しい後見人が選任されるか、後見制度の利用が終了する場合もあります。

後見人にふさわしい人物像

後見人にふさわしい人物像は、本人の利益を第一に考え、
財産管理や契約件数、利益相反の回避に力を尽くすことができる方です。
また、信頼性と誠実さが求められ、できれば専門的知識を持っていることが望ましいです。

具体的には以下のような特徴を備えた方が適任と言えるでしょう。

  • 本人や家族との信頼関係が築けている
  • 法律や税務に関する知識がある
  • 財産管理や契約手続きに精通している
  • 判断力や交渉力が優れている
  • 利益相反が回避できる

専門家として弁護士や司法書士、税理士などが選ばれることもありますが、
親族や友人、信頼できる人物が選ばれることも多いです。
後見人は、被後見人の財産や生活を管理する立場にあるため、
私利私欲を持たず、被後見人の最善の利益を優先することが求められます。

まとめ

成年後見制度とは、認知症や知的障害、精神障害などにより判断能力が不十分な方を保護し、
安心して生活できるようにするための法的制度です。
この制度は、本人の財産管理や契約行為などを代わりに行い、生活の安定や権利の保護を目的としています。

成年後見制度には、「法定後見」「任意後見」の2種類があります。
法定後見は、本人の判断能力が低下した後に家庭裁判所が後見人を選任するもので、
後見、保佐、補助の3段階に分かれています。
判断能力がほとんどない場合は「後見」、判断能力が一部欠けている場合は「保佐」、
日常的な金銭管理が難しい場合には「補助」が適用されます。

一方、任意後見は、判断能力が十分なうちに、
将来支援してほしい内容や後見人を自ら契約で決めておく制度です。

後見人は、本人の財産管理や介護サービスの契約、遺産分割協議など、
法律行為を代理して行いますが、本人の意思や生活状況を最大限尊重することが求められます。

この制度は、本人やその家族にとって重要なサポートとなる反面、
手続きの複雑さや費用などの課題もあります。
そのため、利用を検討する際には、弁護士に相談し、適切な対応方法を選ぶことが重要です。
本人が安心して生活を送れる環境を整えるためにも、
成年後見制度についてはぜひ弁護士にご相談ください。

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