ABCの3名は、居酒屋で共に飲酒した後に、別の飲食店で飲み直そうとし、A運転の自動車に同乗したところ、Aが交通事故を起こし、被害者遺族から、Aの他、BCに対しても損害賠償請求をされた事案
BCは、Aと共に、長時間にわたり飲酒をしており、Aが自動車を発進させるにあたり、Aが飲酒の影響で正常な運転が困難な状態であることを認識していたことは明らかである。そして、ABCが職場の先輩後輩という関係であることを踏まえると、BCが、自分の自動車で運転するとのAの提案を了承したことや、Aの運転する自動車に同乗した後もAの運転を制止しなかったことは、Aの危険運転を容易にしたものといえる。
よって、BCは、Aの危険運転を幇助した責任がある。
裁判所はこのように判断し、BCに対しても、共同不法行為責任を認め、7500万円を超える賠償責任を命じました。
契約関係に立たない他人に違法行為を行ない損害を生じさせた場合、発生する民事上の賠償責任を不法行為責任と言います。交通事故や喧嘩による傷害が典型ですが、本件でも、自動車を運転していたAが賠償責任を負うのは当然です。問題は、単に同乗していたBCも賠償責任を負うかであり、飲酒運転に於ける共同飲酒者ないし酒類提供者の不法行為責任については、これを肯定した裁判事例と否定した裁判事例があります。
よって、賠償責任の肯否は事案によることになりますが、一般に、運転者が酩酊状態で運転することを認識しながらこれを制止せずに同乗した共同飲酒者については損害賠償責任が肯定される傾向にあります。本件もそのような共同飲酒者の同乗事案であり、年始の新年会がおこなわれる今のシーズンは特に注意してください(本件のABCも会社の同僚でした)。
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