自転車により配送を行う配送員らを組合員とする労働組合が、企業等の委託を受けて自転車等による書類等の配送事業を展開していた原告に対し、団体交渉を申し入れたが、原告は応じなかった。
また、原告は、労働組合の執行委員長であったメッセンジャーを、営業所長から解任した。
これらの行為が不当労働行為に該当するとして、中央労働委員会に申立を行い、不当労働行為救済命令が出されたが、原告が当該命令の取消しを求めた事案である。
不当労働行為に対する救済を受けるためには、そもそもとして、メッセンジャーが労働組合法上の労働者に該当しなければならないため、メッセンジャーの労働者性が争点となった。
メッセンジャーについて、営業所長の管理の下、原告の事業組織に組み込まれていたといえること、契約内容を原告が一方的に決定していたものといえること、メッセンジャーの報酬は本来出来高払い制であるものの、その出来高は労務提供(労働量)に依存する側面があること、メッセンジャーは個々の業務依頼を基本的には引き受けるべきものとされていたこと、メッセンジャーの稼働について、時間・場所・態様の各面につき、一定程度の拘束があるとみるのが相当であること、メッセンジャーの事業者性が高いものとは評価し難いことなどの諸点に、労組法の目的(第1条1項)を総合考慮すると、メッセジャーは、労働契約又は労働契約に類する契約によって労務を供給して収入を得る者として、同法3条所定の労働者に当たる(原告との関係では同法7条の「雇用する労働者」にも当たる)と認めるのが相当である。
不当労働行為とは、簡潔に言えば、労働者に対する、労働組合員であることを理由とする不利益な取り扱いなどのことであり、労組法7条によって禁止されています。
そして、不当労働行為があった場合、労働委員会に対して救済を申し立てることができます(同法27条)。
ただし、あくまで労働者の保護を目的とした制度ですから、保護を求める者が労働者でなければなりません。
一般的には、①企業組織への組入れの有無、②契約内容の一方的決定の有無、③報酬の労務対価性の有無、④諾否の自由の有無、⑤業務遂行への指揮監督の有無などの要素に従って判断しますが、本件も、以上の要素を仔細に検討して、メッセンジャーが労組法上の労働者に該当するとの判断を示しました。
労組法上の労働者性の判断にあたって、参考になる裁判例です。
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