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遺留分とは?遺留分の基本を解説
2023.10.24
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相続
遺留分とは?遺留分の基本を解説

相続の遺留分とは?

遺留分とは、一定の相続人に保証されている最低限の相続資産

遺留分とは、
故人が遺言で全財産を特定の人に残しても、
法律で守られた一定の相続人が受け取る権利を持つ、
最低限保証された相続資産のことです。

このシステムは、特定の相続人が不当に排除されるのを防ぐために存在します。

遺留分の対象者

遺留分の対象となるのは、主に以下の方々です。

  • 子供
  • 配偶者
  • まれに、親

これらの人々には、故人の意思に関わらず、遺産の一部が保証されています。

遺留分の計算方法

遺留分は、法定相続分の半分と定められています。
具体的な計算方法は以下の通りです。

  1. 全遺産の価値を算出:
    まず、故人が残したすべての資産と負債を考慮して、遺産の総額を算出します。
  2. 法定相続分を計算:
    次に、各相続人の法定相続分を算出します。
    これは、故人の配偶者、子供、時には親が受け取ることができる遺産の割合です。
  3. 遺留分を算出:
    最後に、法定相続分の半分が遺留分となります。
    これが、遺留分を主張する相続人が受け取ることができる最低限の遺産です。
相続人法定相続分遺留分
子供1/21/4
配偶者1/21/4
1/31/6

※表は一般的な例を示しています。実際の分割比率は個別の状況によって異なる場合があります。

法定相続分と遺留分の違い

"法定相続分""遺留分"は、
相続において非常に重要な概念ですが、
これらは異なるものです。
その違いを明確に理解することは、
遺産分割のプロセスで混乱や誤解を避けるのに役立ちます。

法定相続分とは?

  1. 定義: 法定相続分とは、法律で定められた相続人が受け取るべき遺産の割合です。
  2. 目的: 全ての相続人が公平に遺産を受け取ることを保証します。
  3. 計算方法: 相続法に基づいて、各相続人の法定相続分が定められます。

遺留分とは?

  1. 定義: 遺留分とは、特定の身近な相続人(配偶者や子供など)が、
    遺言による分配に関わらず受け取る権利がある遺産の最小限の割合です。
  2. 目的: 最も近い家族が経済的に保護されることを保証します。
  3. 計算方法: 遺留分は、通常、法定相続分の一定割合として計算されます。

以下の表は、これら二つの概念の主な違いを示しています。

法定相続分遺留分
意味法律で定められた相続人の遺産分割の割合最も近い家族が受け取るべき遺産の最小限の割合
目的相続人全員の公平な遺産分割身近な家族の経済的保護
基準相続法に基づく法定相続分の一定割合

相続人ごとの遺留分の割合

遺留分とは、法律で定められた相続人が受け取るべき最低限の財産のことです。
遺言があっても、この遺留分は守られなければならない重要なルールです。
では、具体的にどの相続人がどのくらいの遺留分を持っているのでしょうか。

  1. 配偶者の場合
    配偶者は、他の相続人がいる場合でも、遺産の半分が遺留分として保証されます。
  2. 子どもの場合
    子どもが1人だけの場合、その子の遺留分は遺産全体の半分です。
    子どもが複数いる場合、遺留分は遺産の2/3を子どもたちで等分します。
  3. 孫の場合
    自分の親(相続人の子)が既に亡くなっている場合、その親の代わりに孫が遺留分を受け取ることができます。
    この場合の遺留分の割合は、その親が受け取るはずだった割合を等分します。
  4. 両親の場合
    相続人に配偶者や子どもがいない場合、両親が相続しますが、
    この場合の遺留分は遺産全体の半分です。

下記は遺留分の割合を表にまとめたものです。

関係遺留分の割合
配偶者遺産の1/2
子ども(1人)遺産の1/2
子ども(複数)遺産の2/3(等分)
孫(子どもの代わりに)親の遺留分を等分
両親遺産の1/2

遺留分は、遺言者が自由に財産を分けることができる範囲を制限するものなので、
遺言を作成する際や相続が発生した時には、この遺留分を正しく理解し、
適切に配分することが重要です。

遺留分の請求方法

遺留分の請求は、故人の死後、相続が開始された日から1年以内に行う必要があります。
請求方法は以下の通りです。

  1. 請求の通知:
    相続人が遺留分の請求をする意思がある場合、他の相続人に対してその旨を書面で通知します。
  2. 遺留分額の確定:
    遺産の総額や法定相続分、遺留分を含む各種計算を行い、遺留分額を確定します。
  3. 遺留分の受領:
    遺留分を受け取る権利がある相続人は、
    遺産分割協議や裁判などの手続きを経て、遺留分を受領します。

遺留分は、故人の意向と相続人の権利をバランス良く保つ重要な制度です。
適切な手続きを踏み、適正な遺留分を確保することが大切です。

遺留分が認められない場合もある

遺留分とは、法律で定められた相続人が必ず受け取ることができる最低限の財産のことです。
しかし、すべてのケースで遺留分が保証されるわけではありません。
遺留分が認められない特別な状況も存在します。
それにはどのような状況があるのでしょうか?

  1. 遺留分放棄:
    相続人が遺留分を放棄することができます。
    これは、遺言者と相続人の間で合意がなされた場合や、
    相続人自身が遺留分を必要としないと判断した場合などに適用されます。
  2. 遺留分減殺:
    遺言者が生前に遺留分減殺の意思を明確に示していた場合、遺留分は減額されることがあります。
    ただし、これには法定の手続きが必要で、一定の要件を満たす必要があります。
  3. 緊急遺言:
    緊急や特別な状況下で行われる遺言では、遺留分を無視することが許される場合があります。
    これには、災害や事故など、予期せぬ状況が含まれます。
  4. 遺留分剥奪事由の存在:
    法律により、一定の行為を理由として遺留分を剥奪される場合があります。
    これには、遺言者に対する重大な犯罪行為や、遺言書の改ざんなどが含まれます。

遺留分が認められない状況は、法的な知識が求められる複雑なものであるため、
具体的な状況や手続きについては、専門家に相談することをお勧めします。

遺留分放棄の方法とその影響

遺留分を放棄する方法

遺留分とは、法律で定められた相続人が受け取るべき最低限の財産のことです。
しかし、様々な理由から、遺留分を放棄したいと考える方もいらっしゃいます。
ここでは、遺留分を放棄する方法について解説します。

遺留分放棄の基本

  • 遺留分とは、法律で保護された相続人の最低限受け取るべき遺産のこと。
  • 遺留分放棄は、この部分を放棄することで、受け取るはずの遺産を他の相続人に譲る行為です。

遺留分放棄の手続き

  1. 遺留分放棄の意思確認:
    まず、遺留分を放棄する強い意志があることを確認します。
    これは、後で変更が難しい重要な決定なので、慎重に考える必要があります。
  2. 弁護士や司法書士への相談:
    遺留分放棄は複雑な手続きが伴うため、
    専門家に相談することをお勧めします。
    彼らは必要な書類の準備や法的な影響について助言できます。
  3. 放棄の合意書作成:
    遺留分を放棄するには、相続人全員の同意が必要です。
    その合意を文書に残し、全員で署名・捺印します。
  4. 公証人への提出:
    放棄の合意書は、公証人による公正証書が必要です。
    これは、放棄が法的に有効であることを証明するものです。

注意点

  • 遺留分放棄は、一度行うと原則的に取り消しができません。
  • 放棄することで受け取れる相続財産がなくなるため、
    将来的に経済的な支障が出る可能性があります。
  • 遺留分放棄は相続人全員の合意が必要で、
    誰か一人が反対すれば放棄できません。

遺留分を放棄する決断は、その人の人生に大きな影響を与える可能性があります。
ですので、この手続きを進める前に、十分な情報収集と専門家との相談を行うことが重要です。

相続開始後の遺留分放棄の影響

  1. 財産権の変動
    放棄することで、放棄者の財産権は減少します。
    これは、将来的な資産形成や生活に影響を与える可能性があります。
  2. 相続人間の関係性
    遺留分を放棄することは、家族間のバランスを変えることがあります。
    これにより、相続人間の関係に変化が生じることがあります。
  3. 税務処理
    遺留分放棄は贈与とみなされることがあり、それに伴い贈与税が発生する可能性があります。
  4. 福祉利益の喪失
    財産を放棄したことで、一定の福祉利益(生活保護など)を受ける資格を失う可能性があります。

注意点

  • 一度放棄した遺留分は取り戻すことができません。
  • 放棄の意思決定は、将来にわたって影響を及ぼすため、
    専門家と相談することをお勧めします。

遺留分放棄は、相続人の資産状況や家族関係、
さらには税務処理にも影響を及ぼします。
したがって、この決定を下す前に、その影響を十分に理解し、
必要に応じて法律の専門家に相談することが重要です。

遺言と遺留分の関係

遺言書作成時には遺留分を考慮する

遺言書を作成する際、特に重要なのが「遺留分」の考慮です。
遺言で全財産を特定の人に与えるとしても、遺留分は守られなければなりません。

では、遺留分を考慮する理由と、その方法について解説します。

  1. 遺留分制度の存在理由:
    -平等な相続:遺留分制度は、すべての法定相続人が一定の財産を受け取れるよう保障するためのものです。
    -家族の保護:故人の意向に反しても、家族が経済的困難に陥らないようにするための制度です。
  2. 遺留分を考慮しないと起こりうる問題:
    -無効な遺言:
    遺留分を侵害する内容の遺言は、相続人による異議申し立てがあった場合、
    その部分が無効になる可能性があります。
    -家族間の争い:
    遺留分を無視した遺言が原因で、家族間に争いが起こることがあります。
  3. 遺留分の計算方法:
    -遺留分の範囲:
    法定相続人(配偶者、子どもなど)には、法律で定められた割合に基づいて、
    遺留分が保障されています。
    -財産の評価:
    遺留分は、故人の死亡時点での全財産に対して計算されます。
  4. 遺留分を考慮した遺言書の作成方法:
    -財産の公正な分配:
    全ての法定相続人に対して、適切な割合の財産が分配されるように遺言を作成します。
    -相続放棄の避け方:
    法定相続人が相続を放棄した場合の対策を講じ、遺留分が守られるようにします。

遺言書を作成する際には、専門的な知識が必要です。
遺留分を正しく理解し、適切に遺言書を作成するためには、
法律の専門家に相談することをお勧めします。

自分だけ何ももらえない遺言書が出てきたら

「自分だけ何ももらえない遺言書が出てきたら」
という状況は、相続人にとって非常にショックな出来事です。
しかし、遺言書には法律的な基準があり、遺留分という制度も存在するため、
完全に手段がないわけではありません。
以下に、そのような状況に直面したときに知っておくべきポイントと対処法を説明します。

  1. 遺留分の確認:
    遺留分とは、法律で定められた最低限相続すべき財産のことです。
    配偶者や子どもなどの直系の親族は、遺言に関わらず一定の遺留分を受け取る権利があります。
  2. 遺言書の内容に疑問がある場合:
    遺言書が本当に故人の意思を反映しているのか、
    精神的に問題があったり、強制されたりしていなかったか等、
    遺言の効力を無効にできる可能性があります。
    この場合、弁護士や司法書士の助けを借り、
    遺言書の認証プロセスや内容の妥当性を法律的に問いただすことができます。
  3. 相続放棄の検討:
    相続が負の遺産(借金など)である場合、相続放棄の選択肢があります。
    これには期限があるため、早急に専門家に相談することが重要です。

【対処法の流れ】

  1. 遺言書の確認
    遺言書の内容を確認し、遺留分が適切に割り当てられているかどうかを確認します。
  2. 法的助言を求める
    弁護士や司法書士などの専門家に相談し、遺言書の妥当性や法的な対処法についてアドバイスを受けます。
  3. 遺言異議申立て
    遺言書の内容に不備や問題があると判断された場合、
    遺言異議申立ての手続きを行い、遺言の無効を主張します。
  4. 和解または裁判
    相続人間で解決ができない場合、和解や裁判の道を選択します。
    裁判では、法律の専門家が事実関係を精査し、公平な判断を下します。

相続問題は複雑で、感情が高ぶることも少なくありません。
しかし、冷静に、かつ迅速に行動し、必要ならば専門家の助けを借りることが重要です。

遺留分に関する相談とサポート

ご自身の相続に備えたい方

相続は、人生の中で避けて通れない大切なプロセスです。
予期せぬトラブルを避け、スムーズな相続を行うためには、事前の準備が非常に重要です。
以下に、相続のプロとしてお伝えしたいポイントをまとめました。

  1. 遺言書の作成:
    自分の財産が亡くなった後、どのように分配されるかを明確に指示するために、
    遺言書を作成することをお勧めします。
    公正証書遺言が最も信頼性が高く、トラブルを防ぐ可能性があります。
  2. 財産の整理:
    現在所有している財産のリストを作成しましょう。
    不動産、銀行預金、株式、保険金など、すべての項目を含めることが重要です。
  3. 相続人の確認:
    法定相続人が誰か、また、遺言による相続人がいるかを確認してください。
    家族構成や近親者の状況を把握することが大切です。
  4. 相続税の対策:
    相続税がかかる場合、その支払いの準備をしておく必要があります。
    生命保険や信託などの方法を利用して、税負担を軽減する対策もあります。
  5. プロフェッショナルの相談:
    相続の専門家、例えば弁護士や税理士、司法書士に相談することで、
    相続のプロセスをスムーズに進めることができます。
    また、専門的なアドバイスを受けることで、安心して相続に臨むことができます。

表1: 相続準備チェックリスト

行動項目詳細完了したか
遺言書の作成公証人役場または弁護士と協力して公正証書遺言を作成[ ]
財産の整理所有している全ての財産(不動産、預金、株式等)のリストアップ[ ]
相続人の確認法定相続人と遺言による相続人の明確化[ ]
相続税対策生命保険、信託等の方法を用いて、必要に応じて税負担軽減の準備[ ]
プロフェッショナルの相談弁護士、税理士、司法書士等の専門家に相続計画について相談[ ]

相続は複雑で感情的なプロセスであることが多いですが、
しっかりと準備をしておくことで、未来のトラブルや家族間の争いを避けることができます。
早めの行動が安心となり、円滑な相続への道を開くことにつながります。

大切な方が亡くなられた方

大切な人を亡くしたとき、心は悲しみでいっぱいです。
しかし、残された方が取るべきいくつかの手続きがあります。
混乱や不安を最小限に抑えるため、ここではそのプロセスを明確に説明します。

  1. 死亡診断書の取得:
    まず、医師から死亡診断書を取得します。これは、今後のあらゆる手続きに必要となります。
  2. 葬儀の手配:
    葬儀社と連絡を取り、故人の意志が明確でない場合は、家族で葬儀の形式や日程を決定します。
  3. 各種通知:
    故人が加入していた保険会社や金融機関、雇用主などに死亡を通知します。
    -保険会社
    -銀行
    -雇用主
    -年金事務所
  4. 遺言の確認:
    故人が遺言を残していた場合、その内容を確認し、
    指定されている場合は遺言執行者に連絡します。
  5. 相続手続きの開始:
    法定相続人の確定、遺産分割協議、相続税の申告など、適切な手続きを行います。
  • 法定相続人の確認
  • 遺産分割協議の開始
  • 相続税申告の準備

悲しみの只中にあっても、これらの手続きは避けられません。
ですが、一人で抱え込まず、専門家に助言を求めることも重要です。

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