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個人事業主としての弁護士

2013.10.16
所長ブログ

弁護士というと、何か特殊な職業のようにみえますが、ほとんどは個人事業主であり(ちなみに、勤務弁護士(通称「イソ弁」は給与所得者です。)、3月には確定申告も行い、税金もしっかり払っています(予定納税に苦しめられているのも同じです。笑)。事務職員を採用にあたり、面接で悩み、採用した後は、仕事を教え、叱咤激励しながら育てる悩みも他の個人事業主と同じです(特に、最近は募集しても応募者が激減しています。いわきは景気が良いというのは本当のようですね。)。

 要は、中小企業の経営者と同じ側面があり、弁護士は、基本的人権擁護と社会正義の実現という重い責務(弁護士法1条)を担いつつも、一方で、経営者としての手腕も求められているわけです。事務所を維持(端的に言えば、人件費を中心とする経費の捻出)することができなくては、社会正義の実現も絵に描いた餅ですので。

 前回もお話ししましたが、これまでこの業界は、長年にわたり、需要と供給のバランスが需要過多の状態で固定化しており、「弁護士」でありさえすれば、経営はほぼ無条件に安定という状態が続いてきました。しかし、どうやら、そのような時代も遂に終わりに近づきつつあるように感じます。

 実際、東京、大阪などの大都市圏では、数年前から、経営が苦しい先生もおられるという話しを聞きますが(前回、私が秋田の先生からお聞きして衝撃を受けたと書いたのは、秋田が典型的な地方で、日本有数の弁護士の数が少ない地域だからです。)、例えば、医者であれば、評判の良い先生のところはいつも一杯で中々予約が取れない一方で、そうでないところもあるようですが、弁護士も、そのような時代が果してくるのでしょうか。

 未来のことは誰にも分りませんが、仮に、そのような時代が来たとしても、それはこの業界にとって、けっして悪い面ばかりではありません。

 何よりも、これまでだったら、弁護士が扱わない(扱おうとしない)小さい事件も扱う弁護士が出てきます。正直、事件の大きさ(未払売掛債権の請求だったら債権額)と事件処理にかかる手間とは必ずしも比例しません。1000万円請求するのも、50万円請求するのも、手間は同じであることが多いのです。そうすると、仕事に手が回らなくなると、どうしても大きな事件を受任し、小さな事件は引受けないことが出てきます。

 しかし、相談者本人にとっては、小さくても人生の一大事でしょうし、他にどのような相談があるかは関わりのないことです。

 私は、小さな事件にも手を差し伸べることが、法的代理権を独占している弁護士の責務だと思っていますし(勿論、費用対効果の問題は残ります。少額の請求、例えば15万円の請求をするのに弁護士に依頼したら、例え回収できても、弁護士費用で手元にほとんど残らない場合が生じます(着手金の最低額が10万円のためです。詳しくは、本HPの「弁護士費用」欄をご参照下さい。)。私はこのような場合は、少額訴訟等ご本人による法的手続をお勧めしています。)、弁護士が多くなることは、必然的にそのような実現に繋がっていくと思いますので、弁護士の数が多くなることは、必ずしも反対ではないのです。

 また、弁護士の数が多くなれば、相談者の方が弁護士を選ぶこともできるようになります。

 経営者としての責任と、弁護士としての責務、この二つの間で悩む時代がこの業界にも来たようです。しかしそれは一方で、これまで弁護士によるサービスが受けられなかった方々まで手が差し伸べられる時代とも言えるのです。

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