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日大アメフト事件

2018.06.05
所長ブログ

この半月ほど、ニュースやワイドショーの時間帯にテレビをつければ、必ずどこかでやっているのが日大アメフト問題ですね。
最初は日大選手のひどい反則行為が監督の指示だったのか問題だったのに、今や、日大理事長はけしからんという話に変わっていて、正直、ここまで連日放送する価値があるのかな、という気もしますが、これだけ報道されているということは、やはり世間の関心を集めているということなのでしょう。
日大側の対応は、既に語りつくされていますが、文字どおりお粗末の限りで、次から次へとマスコミに話題を提供してしまっています(日大に危機管理部という学部があるというのは最早ブラックジョークですね。)。
最近の話題でいえば、事務次官がセクハラ疑惑で辞任する財務省といい、日大といい、日本人であれば誰でも知っている巨大組織の中身がこの程度というのは、日本の国力や将来という視点で見た時に暗い気持ちにさせられます。どこの世界・業界でもトップが聖人君子とは限らないのは世の常ですが、これほどメジャーな組織の正にトップがお世辞にも褒められた人物ではない、というのはどういうことなのでしょうか。

ワイドショーには、芸能人やら評論家と称する人やらが、毎日好き放題発言するわけで聞き流しているわけですが、車の運転中に聞いた法律家(元検察官)の発言でちょっと気になるものがありました。
関学の選手に悪質タックルをした日大の選手に刑事責任を問えるか、という話題の中だったのですが、日大の選手の記者会見の映像が流れた後、その元検察官は、傷害罪の成立には、傷害の故意がある場合と暴行の故意しかないが結果として傷害が発生した場合(「結果的加重犯」といいます。)があるから、日大の選手に暴行の故意しかなくても傷害罪は問いうる、だから、その選手に対して、記者たちがタックルする前から怪我をさせるつもりだったのかとしつこく聞く必要はないんだと、したり顔で発言していました。すぐにキャスターから、でも傷害の故意があったほうが罪は重くなりますよね、と突っ込まれ、それはそのとおりですね、とトーンダウンしていましたが、この元検察官の法律的解説には、法律家であれば基本的な理論が抜けています。
それは、同じ故意と言っても、故意には、確定的故意(最初から結果を発生させるつもりだった)のほかに、未必の故意(結果を発生させる確信はなく、もしかしたら結果を発生させてしまうかもしれないがそれでもいいという内心)という概念があるという点です。
本件の場合、関大の選手のプレーが完全に終わった後にタックルしていますので、少なくても未必の故意を認めることはできそうな事案ですので、初めから、傷害の故意の認定には問題がなさそうに思います。寧ろ、法的に問題なのは、監督にも共謀共同正犯なり、教唆犯なりの刑事責任を問えるかです。
先ほどの元検察官は、最近まで政治家をやっていた方なので、未必の故意を失念していたのだと思います。まあ、法律家としてはお粗末ですが。
今回に限らず、ワイドショーで話題の問題を斜め聞きしていても、法律的観点からちょっと気になるということはよくあるものです。マスコミの影響力は非常に大きいですので、発信者は、間違いがないかよく吟味してほしいですね。

平成30年6月5日

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