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遺産分割協議書の作成方法とは?相続で必要な場合とは?
2023.12.30
相続
遺産分割協議書の作成方法とは?相続で必要な場合とは?

遺産分割協議書をめぐる悩みは、多くの人にとって深刻なものです。

あなたが遺産分割に直面した際、
どのように公平で平和的な解決を図ることができるでしょうか?
この記事では、遺産分割協議のプロセスを具体的に解説し、
家族間のトラブルを防ぎながら適切な分割を実現する方法をご紹介します。

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遺産分割協議とは?

遺産の分割方法を相続人全員で話し合う手続き

遺産分割協議とは、相続人全員が参加する手続きで、
故人の残した遺産の分割方法を話し合います。

このプロセスは、以下のステップで進行します:

  1. 相続人の確定
    相続人とは故人の法定相続人や遺言によって指名された人々です。
    相続人は、民法に基づいた法定相続人であるか、
    遺言書によって指定されている場合があります。
  2. 相続財産の把握
    相続財産には、不動産、預貯金、株式、貴重品などが含まれます。
    相続財産の評価は、市場価値や評価基準に基づいて行われます。
  3. 遺産の分割方法の話し合い
    遺産分割協議では、相続人全員が納得するまで話し合いを続けます。
    分割方法には、現物分割、代償分割、共有分割などがあります。
  4. 遺産分割協議書の作成
    協議の結果は、遺産分割協議書に記載し、公正証書化することが一般的です。
    遺産分割協議書は、将来のトラブルを避けるための重要な文書です。

遺産分割協議は、相続人間の合意が必要であり、
一度決定されると変更は困難です。
相続人間の意見の不一致がある場合は、
調停や審判によって解決することも可能です。
また、遺産分割協議は、故人の意志を尊重し、
相続人全員に公平な分割を実現するために重要な手続きです。

遺産分割協議の進め方

遺産分割協議を進めるには、
以下のステップに従って進めることが重要です。

相続人を確定させる

遺産分割協議を進める際の最初のステップは、
相続人を確定させることです。
これは、遺産の正確な分配を保証するために不可欠なプロセスです。
以下の手順に従って相続人を確定させることができます。

  1. 相続人の特定:
    被相続人(故人)の親族関係を明確にします。
    法定相続人は、配偶者、子供、両親、兄弟姉妹などになり得ます。
  2. 相続関係の証明:
    戸籍謄本や戸籍の抄本を用いて相続人の関係を証明します。
    戸籍謄本は、市区町村の役所で取得可能です。
  3. 相続人全員の合意形成:
    全相続人が遺産分割協議に参加し、意見を交換する必要があります。

この過程において、
相続人間で意見の相違がある場合は、
弁護士などの専門家に相談することも有効です。
相続人の確定は、遺産分割協議を円滑に進めるための基盤となります。

被相続人の財産を確定させる

遺産分割協議の進め方において
「相続人の確定」の次のステップは
「被相続人の財産を確定させる」ことです。

以下のように進めます:

  1. 財産の調査:
    銀行口座、不動産、株式、貴重品など、
    被相続人が所有していたすべての資産をリストアップします。
  2. 評価:
    不動産の市場価値や株式の現在価値など、各資産の評価を行います。
  3. 負債の確認:
    被相続人が持つ借金やローン、未払いの税金などの負債も確認します。
  4. 財産目録の作成:
    確定した資産と負債のリストを作成し、すべての相続人に共有します。

適切な財産の確定は、平等かつ公平な遺産分割を実現するための第一歩です。
全ての相続人が納得できる透明なプロセスを通じて、
相続に関するトラブルを回避することが可能になります。

遺産分割協議と遺産分割協議書の作成

遺産分割協議の進め方:

  • 相続人全員で話し合い、遺産の分割方法を決定します。
  • 相続財産の範囲や価値を把握し、公平な分割を目指します。
  • 相続人の意見が対立した場合は、調停や審判を利用することも検討します。

遺産分割協議書の作成:

  • 合意に達した分割案を文書化し、遺産分割協議書を作成します。
  • 遺産分割協議書には、相続人の氏名、相続財産の詳細、分割割合などを明記します。
  • 全ての相続人が署名・捺印し、各自が協議書のコピーを保持します。

このプロセスは、遺産分割が公正かつ円滑に行われるために必要です。
正確な記録と明確な合意が、将来的なトラブルの防止に繋がります。
遺産分割協議書は、相続人間の合意を確固たるものとするための重要なドキュメントです。

遺産分割協議書の重要性

遺産分割協議書が必要な手続きと状況

遺産分割協議書が必要な手続きと状況に関しては、以下のポイントが重要です。

  1. 相続人が複数いる場合:
    全員の合意が必要です。相続人全員で話し合い、合意に達することが重要です。
  2. 不動産の分割が含まれる場合:
    不動産を含む遺産の分割には、具体的な物件の記載が必要です。
    物件の所在地や面積などの詳細情報を記録します。
  3. 遺言書がない、または不明確な場合:
    遺言書が存在しないか、分割方法が明確でない場合、
    相続人全員での協議が求められます。
  4. 公正証書の作成:
    分割内容を公正証書にすることで、
    将来のトラブルを防ぐことができます。

遺産分割協議書の作成は、
相続プロセスにおいてトラブルを避け、
スムーズな遺産の移転を保証するために不可欠です。
専門家のアドバイスを求めることも一つの選択肢です。

遺産分割協議書に記載する内容

遺産分割協議書に記載する内容には、以下のポイントが含まれます:

  1. 相続人の情報:
    全ての相続人の氏名、住所、印鑑が必要です。
  2. 財産の詳細:
    不動産の場合は、所在地、面積、地番。
    預貯金の場合は、金融機関名、口座番号、残高。
  3. 分割方法:
    各財産に対する相続人ごとの取得割合や方法。
  4. その他重要事項:
    特別受益や寄与分の考慮、借金の処理方法。

遺産分割協議書は、相続手続きの中核となる文書です。
適切に記載された協議書は、後のトラブルを防ぐために不可欠です。
これらのポイントを正確に記載することで、
相続が円滑に進み、相続人間の不和を避けることができます。

遺産分割の方法

現物分割

現物分割とは、
文字通り相続財産をそのままの形(現物)で分割する方法です。
例えば、不動産や車、家具、美術品などがその対象になります。

  • 公平性の確保
    全ての相続人が納得するよう、公平に分割する必要があります。
  • 相続財産の特性
    財産の種類によっては、
    現物分割が適している場合もあります。
    例えば、実家など感情的な価値のある財産。
  • 評価の難しさ
    不動産などの評価が難しい財産は、適正な価値を見積もることが肝要です。

現物分割の際は、相続人間の合意形成が必要不可欠です。
合意に至らない場合、裁判所による調停や審判が必要になることもあります。
したがって、全員が納得できるように話し合いを重ねることが大切です。

代償分割

代償分割は、
遺産の一部を相続人の一人が独占する代わりに、
他の相続人に対してその価値に相当する金銭や他の財産を分配する方法です。
この方法は特に不動産や特定の価値ある品に適しています。

  • 使用例:
    一人の相続人が家を相続し、他の相続人には家の価値に相当する金銭を支払う。
    特定の相続人が家族経営の事業を引き継ぎ、他の相続人にはその評価額に基づいた金銭を分配する。
  • 注意点:
    代償金額の評価は複雑であることが多く、公正な価値の算出が必要です。
    すべての相続人の合意が必要であり、合意が得られない場合は他の分割方法を検討する必要があります。

代償分割は、
相続人間で意見の一致を見ることができれば、
遺産の公平な分割に貢献し、特定の財産を維持したい場合に有効な手段となります。

換価分割

換価分割とは、相続財産を現金化してから分割する方法です。
特に不動産や価値が高い財産がある場合に有効です。
ここでのポイントは以下の通りです。

  • 相続財産を市場で売却し、その売却代金を分配する。
  • 不動産や株式など、分割が難しい財産に適している。
  • 公平な分配を実現できるが、売却には時間と費用がかかる。
  • 相続人間で合意が必要で、一人でも異議があると換価分割はできない。
  • 市場価値によっては、想定していた金額よりも低くなるリスクがある。

この方法は、
相続財産が容易に分割できない場合や、
相続人間の意見が一致しない場合に選択されます。
換価分割は、相続人全員が納得する形で遺産を分けるための選択肢の一つです。

共有分割

共有分割は、相続財産を相続人間で共同所有する方法です。
この方法は、特に不動産などの分割が困難な財産に適しています。
共有分割の特徴を以下に簡潔にまとめます:

  1. 共有分割の特徴:
    相続財産を個別に分けるのではなく、相続人全員で共有します。
    共有者の一人が物件を利用する場合、他の共有者に対して使用料を支払うことがあります。
  2. 共有分割のメリット:
    不動産などの分割が難しい財産の場合、手続きを簡単にします。
    相続人間の合意が取りやすい場合があります。
  3. 共有分割のデメリット:
    共有者間の意見の不一致が生じやすいです。
    将来的に財産を売却する際に、全員の合意が必要になることがあります。

共有分割は、
相続人間で財産の利用方法や管理について十分な話し合いを行い、
合意を形成することが重要です。
相続の専門家に相談することで、適切な共有分割の方法を見つけることができるでしょう。

遺産分割協議がまとまらない場合の手続き

遺産分割調停

遺産分割協議がまとまらない場合の手続き、
特に遺産分割調停について説明します。

  • 遺産分割協議がまとまらない場合、家庭裁判所で調停を申し立てることが可能です。
  • 調停では、裁判所の調停委員が相続人全員と話し合い、解決を目指します。

調停の流れ:

  1. 調停申立書の提出:相続人全員の情報と遺産分割の希望を記載。
  2. 初回調停日の設定:裁判所が日程を決定し、通知します。
  3. 調停の開始:相続人全員が出席し、遺産の分割について話し合います。
  4. 合意が成立した場合:調停調書が作成され、合意内容が法的な効力を持ちます。
  5. 合意に至らない場合:裁判に移行することもあります。

遺産分割調停は、
専門家の助言を受けながら、
平和的かつ公平な解決を目指す有効な手段です。
遺産分割での意見の相違は一般的であり、
専門家のアドバイスを受けることで、
相続に関する問題を円満に解決することが望ましいです。

遺産分割審判

遺産分割審判とは:

  • 遺産分割協議が全ての相続人間で合意に至らない場合に利用する手続きです。
  • 家庭裁判所に申し立てを行い、裁判所が遺産分割を決定します。

手続きの流れ:

  1. 申立人の決定: 合意できない相続人が家庭裁判所に申し立てます。
  2. 審判の申立: 必要な書類(申立書、相続関係説明図など)を裁判所に提出します。
  3. 裁判所の審理: 書類審査や、必要に応じて相続人の意見を聞く審理が行われます。
  4. 審判の決定: 裁判所が遺産の分割方法を決定します。

注意点:

  • 審判は時間とコストがかかる場合があります。
  • 裁判所の判断には不確定要素が含まれ、
    必ずしも当事者の意向に沿うとは限りません。

遺産分割審判は最終手段として位置づけられており、
できるだけ事前の協議で合意を目指すことが望ましいです。
しかし、合意に至らない場合は
この手続きが遺産分割の公正な解決をもたらす可能性があります。

特殊なケースへの対応

未成年者や認知症の相続人がいる場合:

  • 未成年者の場合、法定代理人が協議に参加する必要があります。
  • 認知症の相続人がいる場合は、成年後見人を通じて協議を進めることが一般的です。

行方不明者や音信不通の相続人がいる場合:

  • 相続人が行方不明または音信不通の場合、
    家庭裁判所に申し立てて特別代理人を選任する手続きが必要です。
  • 特別代理人は、行方不明者の代わりに遺産分割協議に参加します。

遺産分割後に新たな財産や債務が判明した場合:

  • 遺産分割後に新たな財産が見つかった場合、
    再度遺産分割を行うことが必要です。
  • すでに分割が完了している場合でも、
    新たに発見された財産については再協議が必要です。

これらの特殊な状況では、
専門家のアドバイスを受けながら慎重に進めることが重要です。
特に法的な手続きが伴う場合は、
弁護士や司法書士などの専門家に相談することをお勧めします。

遺産分割協議の注意点

遺産分割協議は基本的にやり直すべきではない

「遺産分割協議は基本的にやり直すべきではない」という、この原則は、
遺産分割協議が正式な法的効力を持つことに基づいています。

以下のポイントで理解を深めてください。

  • 一度合意された遺産分割協議は、法的に拘束力があります
    これは、合意内容が法的に認められ、相続人間の紛争を防ぐための措置です。
  • 協議をやり直すことは、原則として認められません
    これは、相続人間の不和や長期的な紛争を避けるためです。
  • 例外的な状況では、
    すべての相続人の同意があれば協議の再検討が可能です。
    ただし、これは非常に稀なケースに限られます。
  • 新たな遺産や負債が発見された場合も、
    協議の再検討が許される例外的な状況です。

遺産分割協議書は、相続人間の平和的な解決を目指し、
一度成立すればその内容を尊重し、
基本的には変更しないことが望ましいとされています。

遺産分割後に遺言書が見つかった場合の対応

遺産分割後に遺言書が見つかった場合の対応についは
以下のような対応が考えられます。

  1. 遺言書の確認:
    新たに見つかった遺言書の内容を確認します。
    遺言書が法的な要件を満たしているか確認する必要があります。
  2. 遺産分割協議の再検討:
    遺言書に基づいて、遺産分割協議を再度行う必要がある場合があります。
    すでに遺産分割が行われている場合、
    相続人間で話し合い、遺言書に基づいた分割に変更することを検討します。
  3. 専門家への相談:
    遺言書の内容が複雑である場合や、
    相続人間で合意が得られない場合は、
    法律の専門家に相談することをおすすめします。
  4. 裁判所への申し立て:
    相続人間で合意に至らない場合、
    遺産分割の調停や審判を申し立てることができます。

遺産分割後に遺言書が見つかった場合は、
新たな遺言書の内容に基づいて、
遺産分割の見直しを検討することが重要です。
相続人間の合意が必要となるため、
適切な対応と円滑な手続きのためにも専門家のアドバイスを求めることが効果的です。

借金は遺産分割協議の対象外

相続において、故人の残した借金は遺産として扱われますが、
遺産分割協議の対象とはなりません

故人の借金は、
相続人全員が法定相続分に従って責任を負うことになります。

例えば、故人に子どもが3人いる場合、
借金は3人で等しく分担することになります。

相続人は、借金の相続を放棄することも可能です。
これは相続放棄と呼ばれ、法定の手続きを踏む必要があります。

借金の相続は複雑な問題を含むため、
専門家のアドバイスを受けることが重要です。
適切な対応を行うことで、故人の負債による負担を避けることが可能になります。

まとめ

遺産分割協議書は、
相続人間で遺産の分配方法を明確にするための重要な文書です。
特に不動産や多額の現金、価値のある財産を含む場合には、
遺産分割協議書の作成が必須となります。

作成方法:

  1. 相続人全員の合意を得る。
  2. 分割する財産とその割合を明確に記載する。
  3. 全員の署名・押印を行い、協議書を作成する。

重要な点:

  • 相続人全員の合意が必要。
  • 不動産の名義変更には登記が必要。
  • 遺産分割協議書は、後のトラブルを防ぐために詳細かつ明確に記載する。

相続で遺産分割協議書が必要になるのは、
相続人間で遺産の分配について合意が必要な場合です。
合意が困難な場合は、法的な手続きを踏むことになります。
遺産分割協議書の作成は、後の紛争を防ぐためにも重要です。

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