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保証人が主たる債務を相続したことを知りながら保証債務の弁済をした場合における主たる債務の消滅時効の中断(最高裁第二小法廷平成25年9月13日判決)
2014.04.24
お役立ち情報
保証人が主たる債務を相続したことを知りながら保証債務の弁済をした場合における主たる債務の消滅時効の中断(最高裁第二小法廷平成25年9月13日判決)

事案

原告であるX信用保証協会は、債務者であるAから委託を受けて、AがB銀行に対して負う貸金債務につき、B銀行との間で保証契約を締結した。その後、Aが期限の利益を喪失したため、Xは、B銀行に代位弁済をした。

 被告であるYは、Xとの間で、AがXに対して負担すべき求償金債務について連帯保証人となっていたが、Aが死亡し、その債務をYが単独相続した事実をY自身が認識した後も、Aの連帯保証人としての地位に基づき、Xに対して連帯保証債務の履行として弁済を継続していた。

 本件は、このような事実関係の下において、連帯保証債務の履行が、主債務の承認として主債務の消滅時効を中断する効力を有するかどうかが問題となった事案である。

判決要旨

保証人が主たる債務を相続したことを知りながら保証債務の弁済をした場合、当該弁済は、特段の事情のない限り、主たる債務者による承認として当該主たる債務の消滅時効を中断する効力を有する。

コメント

本件は、保証人が主債務を単独相続し、保証人と主債務者の地位が併存している場合において、保証人がその事実を認識しながら保証債務を履行した場合には、主債務について民法147条3号の定める「承認」に該当する行為として、主債務の消滅時効が中断すると判断した最高裁判決です。

本件においては、主たる債務者と保証人の地位を兼ねる者が、主債務を相続したことを知りつつ行った弁済は、それが保証債務の弁済であったとしても、債権者に対して、併せて負担している主債務の承認を表示することを包含していると判断されています。

したがって、仮に本件において保証人たるYが、自己がAの主債務を相続した旨の認識を有さずに保証債務の弁済を継続した場合には、当該弁済は、主債務の「承認」には該当しないこととなり、主債務の消滅時効は中断しないこととなります。

なお、本判決においては、「特段の事情」がある場合には、「承認」に該当しないとの例外を設けていますが、どのような場合に「特段の事情」が認められるかということについては触れられていないため、その点については、今後の判断が待たれることとなります。

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